※編集部注:【2024年7月18日更新】
昨今、電気代の高騰に苦しむ法人は増えていますが、電力会社の切り替えは取り組みやすい電気料金の削減手段として注目を集めています。
省エネ設備の導入と違って大きな投資を必要としないため、比較的手軽に進めやすいからです。また、見積もりの検討や切り替え手続きを含め最短2カ月ほどで完了し時間がかからないというメリットがあります。
それでいて電気代削減率は小さくありません。高圧電力見積もりの電気代削減率は最大56.85%にのぼります(法人向け電気代削減サービス「エネチェンジBiz」による切り替え実績による)。
国内にある法人向け電力会社の数は700社以上にもなります。闇雲に見積もりを依頼するだけでは、自社に合った電力会社を見つけることは難しいでしょう。法人の電気料金削減に向けて、電力会社をどのように比較検討すればよいのでしょうか?
この記事では、電気代の値上がり原因、一般的な対策に触れた上で、電力会社の比較・検討に必要な知識や法人向け新電力の特徴、見積もり依頼時の注意点を解説します(家庭向けの電気料金プランの値上げ情報や対策が気になる方はこちらをご覧ください)。
ここでは、電気代の値上げの現状と推移について詳しく見ていきます。
世界的な政情不安による燃料の調達コストの高騰が、電気代の大幅な値上げを招いています。当初は、約3~5割の値上げも予測されていましたが、国による値上げ認可における査定の結果、かなり圧縮され、標準的な家庭における電気料金の値上げ率は14~42%の幅となっています。
上のデータは全国エリアにおける、2021年8月から2023年8月までの電圧種類別の平均電気料金単価推移のグラフです。
2022年末までは、どの電圧種類であっても全体的に電気料金値上げの傾向にありました。しかし、2023年1月からスタートした「電気・ガス価格激変緩和対策事業」の影響で、それ以降一時的に電気料金は値下がりしています。
2023年6月から大手電力10社のうち、北海道電力、東北電力、東京電力、北陸電力、中国電力、四国電力、沖縄電力の7社は、国から認可を受けて「規制料金」を値上げしています。電気料金の値上げの主な原因は、以下の6つです。
最終保障供給は、高圧や特別高圧の需要家が対象となります。電力小売市場において、電力供給会社が経営困難に陥り、顧客に電力供給を継続できない場合、顧客への電力供給を確保するための制度です。
2022年9月から最終保障供給が市場連動型に変更されました。これまでの最終保障供給は、電力供給会社が困難に陥った場合、電力小売事業者となる既存電力会社がその顧客を引き継ぎ、一時的に電力供給を担当していました。
2022年に導入された市場連動型最終保障供給では、経済産業省が指定する「最終保障供給事業者」が、競争的な入札プロセスを経て顧客を引き継ぐ仕組みです。つまり、市場連動型最終保障供給では、競争が導入され、電力供給会社間で顧客の引き継ぎについての入札競争が行われます。電力会社の競争力を高め、利用者の負担が過度にならないよう考慮しつつ、最終保障供給料金の適正化を図るための方針変更です。
ただし、このFSLR制度は緊急の措置として設けられており、通常の電力供給手段ではありません。そのため、この最終保障供給が恒常的に必要とされることは期待されていません。需要家の小売契約を奨励するため、2022年9月および2023年4月には価格が引き上げられました。今後も社会的なコストの増加を考慮し、価格の引き上げがさらに行われる可能性が考えられます。
関連記事:最終保障供給とは? 制度の概要や料金、申し込み方法について解説
2022年度第2次補正予算では、エネルギー価格の高騰に苦しむ世帯や企業の負担を軽減するため、「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」として3兆円以上の予算が確保されました。これにより、2023年1月から、ガス・電気料金の値引きが使用量に応じて実施されています。電気や都市ガスの料金プランのうち、規制料金は経済産業大臣の認可や供給約款の提出などに基づいて設定されます。値引きには、通常とは異なる条件で供給を行うことに対する認可が求められていました。
実際、電気・都市ガスの小売事業者は2022年12月7日に申請を提出し、認可されたことで、規制料金の値引きが実現していました。また、認可や届け出を待たずに設定できる自由料金についても支援対象となっています。
2024年に入り、経済産業省は「激変緩和措置」を2024年5月使用分までで終了すること発表しました。2023年1~9月分の高圧契約企業の値引き単価が3.5円/kWhだったのに対し、2023年10月分~2024年4月分は1.8円/kWhとなっています。2024年5月からの値引き単価は0.9円/kWhとさらに半額となりました。
また2023年9月度分からは値引き額が減り、9月分までの電力使用量より2.6円/kWhの事実上の「値上げ」・「電気代高騰」となります。加えて、6月分からは補助が一切無くなります。
参考:経済産業省|令和6年春までの電気・ガス価格激変緩和対策の継続に伴い、 都市ガス料金の値引きを行うことができる特例認可を行いました
上記の激変緩和措置は、液化天然ガスや石炭の輸入価格がウクライナ侵攻前と同程度に低下した状況等を踏まえ、2024年5月使用分で終了しました。
しかし今年は6月から真夏日が続き、エアコンなど空調の稼働率が高い状態にあります。この厳しい夏の暑さを乗り越えるため「酷暑乗り切り緊急支援」として、政府は2024年8・9・10月の電力使用分の値引きを実施することを決定しました。
2024年8・9月使用分では、高圧で2.0円/kWh、低圧で4.0円/kWhの値引き、2024年10月使用分では、高圧で1.3円/kWh、低圧で2.5円/kWhの値引きとなります。なお、2024年6・7月使用分については割引きはありません。
参考:経済産業省|電気・都市ガスをご利用するみなさまへ
電気代に影響を与えるかもしれない新しい制度、容量拠出金が2024年4月からスタートします。この制度は、電気供給の安定性を支えるために、小売電気事業者が発電事業者に支払う制度です。小売電気事業者は1kWhあたり3円以上の容量拠出金を支払うことになると予測されており、このコストは最終的に電気料金に転嫁される可能性が高いです。その結果、電気料金にも上乗せされる形で値上げが起こると見られています。
容量拠出金は、電気供給の安定性を保つための費用であり、発電所の人員や維持コスト、メンテナンス、施設の更新などに充てられます。電気事業法では、小売電気事業者は供給電力量だけでなく、中長期的な供給能力の確保も義務付けられています。このため、容量拠出金は電気事業を行うにあたり避けられない費用となります。料金の上昇が心配な方や、容量拠出金の制度内容についてもっと知りたい方は、ぜひ下記の記事をご覧ください。
関連記事:容量市場とは? 開始時期や目的、仕組み、容量拠出金について徹底解説。
再エネ賦課金は、電力会社が再生可能エネルギー由来の電力を買取る際の費用の一部を、電気を使用するすべての契約者に負担してもらうための仕組みです。世界各国は、地球温暖化の原因の1つとされているCO2の排出量を、2050年までに実質ゼロにする目標を掲げています。CO2排出量削減の解決策のひとつとして挙げられているのが、太陽光・風力・水力・地熱・バイオマスといった「再生可能エネルギー」です。
再生可能エネルギーを利用した発電は、CO2がほとんど発生しない、発電に必要な資源が枯渇しないなどのメリットがある一方、コストがかかるという大きなデメリットがあります。このデメリットを解消するためにはじまった制度が、「固定価格買取制度(FIT制度)」です。「固定価格買取制度」とは、再生可能エネルギーの発電所から作られた電気を電力会社が一定価格・一定期間で買い取ることを国が保証する制度です。その電気の買取費用のために集められ、「固定価格買取制度」を支えているのが、再エネ賦課金なのです。
2024年4月まではこの再エネ賦課金単価は1.40円/kWhに設定されていました。しかし燃料価格の下落による販売収入の減少が見込まれ、電気料金の見直しによって2024年5月〜2025年4月では前年度の約2.5倍となる3.49円/kWhに値上がりすることとなりました。
再エネ賦課金は一般的に、「1か月の電気使用量(kWh) × 再エネ賦課金単価(kWh)」で計算されるため、どの企業や一般家庭においても大きな負担になると予想されます。
関連記事:再エネ賦課金(再生可能エネルギー発電促進賦課金)とは?2024年は値下げ?値上げ?
企業は、今後も安定化の先行きが見えにくい状況においてどのような対策ができるのでしょうか。
電気代の高騰に対処するために、エネルギー効率を向上させながら、あらゆるエネルギー戦略についての模索が必要です。
ここでは、自己防衛として考えられる設備の導入や補助金の活用など、市場の変化に対応するための対策を解説します。
従来、固定料金タイプの電力契約は電気料金の安定性を求める顧客にとって魅力的であり、時節によって大幅な値下げも期待できました。しかし、時代は変化しつつあります。
完全市場連動型プランへの移行や自家消費設備の導入により、新たな費用削減策を考えなければなりません。
市場連動型プランでは、市場価格に応じて電力料金が変動し、ピーク時には高く、需要が低い時には低価格での供給となります。電力の使用を効率的に管理し、ピーク時には削減策を活用することでコストを抑えることが可能です。
また、再生可能エネルギーの導入や蓄電池システムの活用により、自家発電やエネルギーの貯蔵が可能となり、電力料金の依存度を減少させることもできます。
自家消費型の太陽光発電を企業が導入するメリットは、さまざまです。CO2削減に寄与することは、環境への貢献であり持続可能なビジネスへの一歩となります。
加えて、停電時にも電力供給が可能なため、防災性を向上させ業務の中断を最小限に抑えることが期待できるでしょう。
さらに、自家消費型太陽光発電の導入には初期費用をゼロにできるオンサイトPPAやリースといったサービスがあります。オンサイトPPAは、発電事業者が需要家の敷地内に設備を設置する仕組みです。大規模な初期投資を必要とせずに設備を導入し、電力コストを削減できます。
地方自治体による自家消費太陽光の補助金制度は、再生可能エネルギーの普及を奨励し、地域社会への貢献を支援しています。以下は、自治体による補助金制度の例です。
また、国の補助金制度もあり自家消費太陽光発電設備や蓄電池の導入を奨励しています。民間企業による再エネ主力化やレジリエンス強化促進事業、新たな再エネ導入・価格低減促進事業など、さまざまなプログラムが提供されています。
さらに、中小企業では「中小企業経営強化税制」を活用することも可能です。また、太陽光発電設備の税額控除を受けることができます。この制度は2025年3月末まで延長されましたが、申請と認定が必要となります。
関連記事:【2024年最新版・全国】高圧電力・特別高圧電力支援金について徹底解説
関連記事:自家消費型の太陽光発電で活用できる補助金の公募開始、工場や事務所、店舗などが対象
法人の電気料金を適切に比較するには、まず電力の仕組みを知る必要があります。
エネチェンジBizへの問い合わせで最も多い項目の一つが、個人の電気料金との違いです。個人と法人とで電気料金の共通項目(燃料費調整額や再生可能エネルギー発電促進賦課金など)はあるものの、違いも多くあります。
まずわかりやすい違いが、電力の使用規模です。当然ですが、法人の使用規模は個人のものより大きくなっています。
この電力使用規模を表す項目の一つが「契約電力」です。これは、毎月使える電力の上限を示した数値になります。
この契約電力の水準によって、電気料金が決まる仕組みや単価などが異なります。電気料金を正しく比較するために契約電力についての知識は重要です。
電気料金プランは、契約電力の規模によって契約内容が3種類に分けられています。
関連記事:高圧電力とは?低圧電力との違いも解説
個人や小規模商店などであれば低圧電力に、中小規模の法人施設(ビルや工場など)であれば高圧電力に、そして大規模な法人施設であれば特別高圧電力に分類されます。
自社の契約電力が分からない場合は、電気料金の明細情報などを確認してみてください。
この契約電力を軸にしながら、法人と個人の違いを見ていきましょう。また、電力規模の異なる法人同士での違いも解説していきます。
低圧(個人含む)・高圧・特別高圧電力のいずれかによって、電気料金の算出方法が異なります。より厳密に言うと、基本料金に影響する契約電力の算定方法が違ってくるのです。
低圧電力の中でも契約の種類は2種類あり、それぞれ電気料金の算出方法が変わります。
電灯契約の契約電力(契約アンペア)は、主に電力使用状況に応じて、需要家が申告して決める仕組みになっています。例えば、東京電力エナジーパートナーでは以下の区分けとなります。
申告して決めた契約アンペア以上の電力を一度に使ってしまうと、ブレーカーが落ちて停電になる恐れもあります。電力使用量を考慮しながら、適切な水準を選ぶことが重要です。
一方で動力契約の場合は、契約電力が決まる仕組みを主に以下の2種類から需要家が選ぶことになります。どちらの契約形態で契約電力を決めるのが適切かは、施設の電力使用状況によって変わってきます。
・負荷設備契約:設備容量の合計で契約電力を算定。算定された契約電力を元に基本料金が決まる
・主開閉器契約:メインブレーカーの容量で契約電力を算定。算定された契約電力を元に基本料金が決まる
動力設備(エアコンや生産機械など)が常にフル稼働している施設であれば、負荷設備契約のほうが電気料金はお得になる可能性があります。
一方で、時間帯ごとに設備稼働の波がある場合は、主開閉器契約のほうが電気料金削減につながりやすい、という特徴があります。
異なる施設の電気料金を適切に比較する場合は、前提条件を揃える必要があるため、こうした契約種別の違いにも注意することが重要です。
高圧電力の契約電力は、「デマンド」と呼ばれる数値によって決まります。デマンドとは、直近12カ月間における電力使用の最大値を指しています。
デマンドが記録されるタイミングは、「工場内の設備を一斉に稼働させた」「夏の暑い日に空調をフル稼働させた」など、電力使用が一時的にピークを迎えた時です。
このデマンドが上がると、契約電力が引き上がり、毎月の基本料金が上がる仕組みになっています。
つまり、日頃から電気代削減や省エネに取り組んでいたとしても、一時的に電力使用量が増え、過去の最大値を更新してしまうと、基本料金が上がってしまうのです。
特別高圧電力の契約電力は、高圧電力と同じく基本的にデマンドによって決まりますが、若干の違いがあります。
高圧電力(小口)の契約電力は、純粋にデマンドの値によって決まります(実量制)。一方、特別高圧電力の契約電力は、デマンドの値をベースとしつつ、電力会社との協議によって決まります(協議性)。
電気料金には、基本料金単価(または最低料金)と電力量料金単価という2種類の単価があります(電灯契約は電力量料金単価のみ)。
契約電力の水準(低圧・高圧・特別高圧電力)などによって単価は変わります。一例として、東京電力エナジーパートナーによる電力量料金単価を見てみましょう。
電力使用の規模(電圧)が大きくなるほど電力量料金単価は安くなる、というのが全体の傾向です。
例えば低圧電力の単価では、電力使用規模がより大きい動力契約のほうが、電灯契約よりも安く設定されています。
この傾向は、高圧・特別高圧電力(産業用)においても同様です。
複数の電力会社による見積もりを比較する際は、電気料金の総額だけでなく、こうした単価同士でも比べる必要があります。
電気料金を決める要素は、契約電力や電力量料金単価、基本料金単価など複数あります。そのため総額だけでなく、こうした詳細項目同士での比較が必須なのです。
さらに比較検討する上で知っておきたいのが、法人向け電力会社に関する知識です。そもそもどんな電力会社があるのか、イメージできない方も多いかもしれません。
特に電力小売市場が自由化されたあとに参入してきた「新電力」と呼ばれる会社は、国内で700社以上に上ります。そこでまずは一例として、法人向け電力販売量で上位を占める新電力大手を見ていきましょう。
電力会社ごとの販売量をご紹介します。法人向けランキング(2023年度)を電力規模別(低圧・高圧・特別高圧電力)にまとめました。
電力規模ごとの販売ランキング
低圧電力 | |
新電力 | 市場シェア(販売電力量) |
東京ガス株式会社 | 17.0% |
大阪瓦斯株式会社 | 9.0% |
SBパワー株式会社 | 7.5% |
auエネルギー&ライフ株式会社 | 6.5% |
ENEOS株式会社 | 5.0% |
株式会社ハルエネ | 4.3% |
NTTアノードエナジー株式会社 | 2.8% |
東邦ガス株式会社 | 2.7% |
楽天エナジー株式会社 | 1.7% |
株式会社PinT | 1.5% |
高圧電力 | |
新電力 | 市場シェア(販売電力量) |
株式会社エネット | 11.7% |
日本テクノ株式会社 | 6.8% |
株式会社関電エネルギーソリューション | 5.1% |
ミツウロコグリーンエネルギー株式会社 | 5.1% |
ENEOS株式会社 | 4.8% |
丸紅新電力株式会社 | 4.3% |
株式会社U-POWER | 3.4% |
株式会社CDエナジーダイレクト | 3.0% |
九電みらいエナジー株式会社 | 2.3% |
シナネン株式会社 | 1.9% |
特別高圧電力 | |
新電力 | 市場シェア(販売電力量) |
株式会社エネット | 21.5% |
株式会社CDエナジーダイレクト | 8.6% |
丸紅新電力株式会社 | 5.9% |
ゼロワットパワー株式会社 | 4.3% |
株式会社関電エネルギーソリューション | 4.2% |
株式会社グローバルエンジニアリング | 3.9% |
大阪瓦斯株式会社 | 3.2% |
サミットエナジー株式会社 | 2.6% |
九電みらいエナジー株式会社 | 2.5% |
東京ガス株式会社 | 2.5% |
出典:新電力ネット「電力販売量のランキング」を元にエネチェンジBiz編集
※市場シェアは小数点第2位を四捨五入して計算しています。
こうした法人向け新電力の企業形態はさまざまですが、大手グループ企業が比較的目立っています。
例えば、高圧電力で首位の株式会社エネットはNTTグループの連結子会社です。株式会社関電エネルギーソリューションは新電力でありつつ関西電力株式会社の子会社ですし、ENEOS株式会社は石油元売り大手ENEOSグループによる新電力事業です。
こういった大手グループ企業による新電力への参入は、低圧電力や特別高圧電力向けの上位企業でも同様です。
電力会社の切り替えを検討する企業は、電力の安定供給の有無や倒産の可能性をはじめ、新電力の信頼性に不安を持つケースが多いです。しかし、こうして見てみると、市場シェアの上位には大手資本の新電力が多いことが分かります。
電力プランを比較する際に、電気代削減率という軸に加えて、こうした企業規模や評判なども検討材料に入れる企業も多くあります。
電力会社の切り替え検討を始めた段階で、早速候補となる電力会社に見積もり依頼を出したくなるところですが、事前に整理するべき項目があります。
電力会社を切り替えるといっても、自社の目的はいくつかあるでしょう。
もちろん電気代削減が最も大きな狙いであるケースがほとんどですが、加えて「再エネ比率も考慮したい」「請求情報を一括管理したい」「施設ごとの支払いサイクルをそろえたい」「管理画面での見える化機能も充実してほしい」といった関連ニーズをお持ちの場合が多いでしょう。
こうした要件やそれぞれの優先順位を社内で整理しておくと、よりスムーズに比較検討を進めることができます。
電力会社に見積もりを依頼する際は、直近12カ月分の明細情報が必要です。
施設による電力使用状況は、季節によって異なります。電力の使用実態を反映したより正確な見積もりを作成してもらうためにも、通年の明細情報を提出できると理想的です。
ただ明細情報が管理されておらず、そろえることが難しい場合でも見積もり作成は可能です。欠けている月の電力使用状況を、想定値で埋めて試算することもできるからです。
また契約中の電力会社(営業担当者やカスタマーセンターなど)に問い合わせることで、明細情報を取得できる場合もあります。
「とにかく電気代削減率を重視したい」「電力会社の信頼性も考慮したい」といったご要望をエネチェンジBizにお伝えください。
貴社のニーズやご懸念なども考慮しながら、切り替え先の電力会社を選定させていただきます。
また切り替えに関するご質問やご不安にも丁寧にお答えいたします。
切り替えの方針を明確にして、必要な情報を整理したら、電力会社に見積もりを依頼するフェーズになります。
より安い見積もりを取得するためにも、複数の電力会社に声をかけたいところです。ですが、ただ数多くの会社に見積もりを依頼すればよいというわけではありません。
電力会社を比較検討する際は、各電力会社とのやり取りや契約内容の精査といった工数がかかります。あまりに多くの電力会社に声をかけてしまうと、各社とのコミュニケーションが十分に取れず、よりよい見積もりを引き出すことが難しくなる恐れもあります。また、条件がバラバラな契約書の内容を比較しきれず、自社が意図しない項目を見逃してしまう事態にもなりかねません。
電力会社との関係性も築きつつ、提案・契約内容などをしっかり精査できる範囲で見積もりを検討することが理想的です。
また「より多くの電力会社を比較したい、でも自社の手間はかけたくない」という場合は、電力会社の比較サービスを利用することも一つの手段です。少ない手間で、より多くの電力会社を比較検討することができるでしょう。
見積もり依頼をする電力会社を選ぶための基準はいくつかあります。
まず契約中の電力会社から、再度見積もりを取ることは有効です。複数の電力会社を比較した結果、契約中の電力プランの見直しが最も安くなったという電気代削減事例もあります。
また供給実績を重視する場合は、資源エネルギー庁が公開している電力需要実績も参考になるでしょう。
電力会社ごとの販売量(月次・年次)が表にまとまっているため、販売量上位の電力会社大手や、ここ最近で販売量が伸びていて勢いのある電力会社などを探せます。
さらに過去に見積もりを依頼したが、十分な削減額を提示してもらえなかったという電力会社があったとしても、再度依頼してみるのもよいでしょう。
「前回の依頼時と比べて自社の電力使用状況が変わった」、もしくは「電力会社のビジネス状況が変わった」などの要因によって、前回より大きい削減額を引き出せることもあるからです。
電力会社によって電気料金の試算条件が異なるため、それぞれの見積もりを適切に比較できるようにするためには、見積もり依頼時の前提条件をそろえることが必須です。
また見積もりフォーマットも各社によって異なるため、比較すべき項目が記載されるかを確認する必要があります。
具体的な比較方法については、次のパート「法人向け新電力の比較方法とは?」で解説していきます。
電力会社から見積もりを取得するには、電力会社の選定や依頼内容の整理、電力会社とのやり取りといった手間がかかります。
見積もり先の電力会社の数が増えるほど、作業負担も大きくなるでしょう。
エネチェンジBizでは、そうした面倒な作業を全てサポート。より多くの見積もりを手軽に比較できます。
また電力に詳しくない方でも簡単に見積もりを比較できるよう、各社の電気料金を分かりやすい比較表にまとめて提出いたします。
法人の電気料金の内訳は、次の4つに分けられます。各社の見積もりを比較する際は、電気料金の合計だけを見てしまうと試算条件の違いなどを見落とす恐れがあるため、それぞれの項目ごとでも比べる必要があります。
毎月の基本料金は、次のように計算されます。
上記のうち、契約電力を試算する条件が電力会社によって異なる場合があります。そのため特に契約電力が直近で大幅に上下した場合は、その内容を各電力会社に伝えた上で、試算条件をそろえる必要があるでしょう。
その上で基本料金単価同士を比較すれば、基本料金を適切に比べることができるはずです。
電力量料金は、電力使用量に応じて課金される料金です。計算式は次のようになります。
仮に設備の増設・減設や施設の稼働時間の増減など、電力使用量に大きな変化が直近で起きた場合は、 各社と相談して試算の前提をそろえる必要があります。その上で、単価を比較できるようにすることが重要です。
再生可能エネルギー発電促進賦課金と燃料費調整額は、個人と法人共に毎月の電気料金に必ず含まれる項目です。
前者は再生可能エネルギー普及に必要な費用として請求されます。後者は発電に使う燃料費の変動分を調整するために請求されます。
一般的な見積もりフォーマットでは、上記の項目は電気料金の総額に含まれませんが、含まれて表示されるケースもあります。そのためこれらを見積もり額に含めないよう、依頼する際に伝えておくのがよいでしょう。
より安い電力会社が見つかったものの、契約中の電力会社から違約金が発生するタイミングだったことが分かり、切り替えを断念するといったケースもあります。契約中の電力会社との契約内容も事前に確認しておきましょう。
法人向けの新電力会社は、700社以上もあります。電気代削減額だけでなく、企業としての信頼性や知名度、供給実績・エリアなど、自社のニーズに応じて検討しましょう。
エネチェンジBizは、法人向け新電力比較サービスです。厳選された新電力の中から、複数の見積もりを一括で取得できます。料金メニューやリスクもご説明できますので、まずはお気軽に一括比較・お見積もりください。