日本は世界有数の「電気料金が高い国」です。製造業であれば、少しでも電気代を安くしたいと考えることでしょう。省エネ活動に取り組むためには、そもそも電気料金がどのように決まっているのかを知る必要があります。
省エネのためのキーワードの一つが「デマンド値」です。 毎月の電気代の基本料金を削減するには、まずこのデマンド値を理解することが重要なのです。
デマンド値とは?
「デマンド値」とは、ある30分間に消費された電力の平均値のことです。これを「30分デマンド値」と言います。ここで言う「30分」とは、毎時0時から30分までの間、もしくは30分から60分までの間を指します。
30分を1コマとすると、1日24時間の中では48コマあることになります。さらに1ヵ月間(仮に30日間)の中では、1,440コマ(48コマ×30日間)になる計算です。
この1ヵ月間の中で、30分デマンド値が最も高かったコマの値が、その月の最大デマンド値(最大需要電力)としてカウントされます。
さらに当月を含む直近12カ月の中で、最も値が高かった月の最大デマンド値(kW)が電気料金に影響するのです。
デマンド値は基本料金に影響する
高圧受電者の場合、直近12カ月での最大デマンド値が契約電力として設定されます。そしてこの契約電力の値が、毎月の基本料金を左右するのです。この仕組みを「デマンド料金制度」と呼びます。
詳しく見ていきましょう。
たとえば、月ごとの最大デマンド値が次のように推移したとします。令和4年1月時点を見ますと、直近12カ月で最も高い値は令和3年2月の410kWです。つまり令和4年1月時点での契約電力は410kWとなります。
次に、以下のグラフのように、令和4年2月の最大デマンド値が360kWになったとします。するとこの時点から直近12か月の中(当月を含む)では、令和3年12月の値が最大になるため、契約電力は370kWに下がることになります。
高圧電力の基本料金は、以下の式で決まります。契約電力が上がれば基本料金も上がる仕組みのため、契約電力をいかに下げるかが電気料金削減にとって重要になるのです。
- 基本料金=単価×契約電力×力率割引
こうした一連の仕組みで注意すべき点は、どんなに普段から節電に取り組んだとしても、1年のうちで特定の30分間だけが突出してデマンド値が大きいと、その値が向こう1年間の基本料金になってしまうという点です。
そのため単に使用電力量を減らすだけでなく、30分間のピーク値を抑えることも併せて重要になります。
デマンド値を抑えるには
デマンド値を抑えるには、前述のように30分間に消費される電力の平均値を下げる必要があります。この平均値が上がってしまう場合というのは、たとえば、
- 夏や冬に空調を一斉につけてしまった
- 複数の生産機械が稼働するタイミングが重なった
など、短時間に電気使用量が急増してしまうような場面です。
一般的な施設であれば、こうした短時間で電気使用量を急増させる主な機器は空調であることが多いです。
空調が電気使用量を急増させると仮定すると、年間のピークが起こるタイミングは、夏や冬におけるほんの数コマである可能性が高いです。つまり、その数コマだけ空調を調整するといったシンプルな取り組みでも、契約電力を下げることに役立つのです。
ただ、そもそも電力のピークがどの機器を原因として、いつ発生しているのか把握しなければ、ピークシフト・ピークカットなどの具体的なアクションを起こせません。
そこで重要になる施策が、電力の「見える化」です。「見える化」とは、その言葉の通り、いつ・何に・どれだけの電力を使っているかを数値として表示し、関係者が確認できるようにする取り組みです。
デマンド監視装置・コントローラーのような「見える化」ツールの導入も必要になってくるでしょう。
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