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電力のピークカットとピークシフトとは?

※編集部注:【2024年12月16日更新】

この記事では、電気代を削減するにあたって重要な方法である「ピークカット」と「ピークシフト」について解説します。

電力消費の多い時間帯の電力使用を削減することをピークカットと呼びます。一方で、電力の消費量が多い時間帯から少ない時間帯に活動を移すことで、電力消費量の波を平準化させるのがピークシフトです。

2つに共通するのは、電気代の単価が高い時間帯の使用を減らすことで電力量料金を下げられることに加え、電力使用のピークを抑えることで基本料金の削減につながるという点です。それぞれについて基本的な内容を説明していきます。

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ピークカットとは

ピークカットとは、ピーク時の電力使用そのものを抑えることで、電気代削減につなげる方法を指します。

ピークカット-1

ピークカットによって、特に期待される効果は基本料金の削減です。電力使用のピークである最大需要電力(デマンド値)を抑えることで契約電力を削減。基本料金の削減につなげることができます。

では、最大需要電力とは何でしょうか?それを抑えることでなぜ基本料金を削減できるのでしょうか?
その仕組みを詳しく見ていきましょう。

ピークカットによる基本料金削減の仕組み

ピークカットによって、電力使用のピークを抑えると基本料金の削減につながります。この時の「ピーク」とは、直近12カ月における「最大デマンド値」(最大需要電力)のことです。デマンド値とは、ある30分間に消費された電力の平均値を指します。これを「30分デマンド値」といいます。

そして直近12カ月の中で、最も高い「30分デマンド値」が最大デマンド値です。高圧受電の場合、この最大デマンド値によって、基本料金を左右する契約電力が決まります。

たとえば月ごとのデマンド値が以下のように推移した場合、23年2月の値(410kW)が向こう12カ月間にわたって契約電力として設定されることになります。

20241127_図解作成3点-3

つまりこの仕組みでいうと、契約電力の値は瞬時的な使用電力量の高さで決まります。そのため仮に全体の電力使用量をどれだけ削減できたとしても、ある瞬間に使われるピーク値が高いままであれば、契約電力と基本料金は下がらないことになるのです。

そこで最大デマンド値を抑えるためのピークカット施策が重要になります。

関連記事:高圧電力契約での基本料金の仕組みとは?
関連記事:契約電力とは? 高圧・特別高圧の契約電力の仕組みについて解説

 

ピークシフトとは

当然ながら1日の中で電力の使用量には波があります。たとえば一般的な工場での電力使用量は日中に多く夜間に少ない傾向にあります。

こうした電力使用量カーブの山の部分を、谷の部分にシフトするのがピークシフトです。言い換えれば、ピークの時間帯に使う電力を減らし、代わりに電力使用の少ない時間帯で使うのです。

20241127_図解作成3点-4

ピークシフトで電気代を削減できる理由

一般的には、夏季の昼間のように電力使用が多い時間帯は電気料金が高く設定される一方で、電力使用が少ない時間帯は安くなる、といった傾向があります。

そのため電気代が安い時間帯にピークシフトできれば、仮に全体としては電力の使用量が変わらなくても、電気代の削減につながるのです。

時間帯によって電気代の設定が異なる、という点を東京電力エナジーパートナーによるプラン
業務用季節別時間帯別電力」を例に見てみましょう。

同じ夏季でも、ピーク時間帯(平日13~16時)の電力量料金が1kWhあたり23円20銭なのに対して、その他の昼間時間(ピーク時間帯を除く平日8~22時)は1kWhあたり22円49銭、夜間時間帯(22時~8時)では1kWhあたり15円74銭というように開きがあります。

業務用季節別時間帯別電力プランの単価(出典:東京電力エナジーパートナーHP

20241204_図解作成3点

つまり、電力使用をピーク時間帯からその他の時間帯に移すことができれば、より安い電力量料金単価で電気を使えることになります。

またピークシフトによって、電力量料金だけでなく基本料金を下げることも可能です。基本料金の額を左右する項目の一つである契約電力は、ピーク電力の値(直近12カ月の最大使用電力量)によって決まります。

ピークシフトによって、1年の中で発生する電力使用のピークを抑制できれば、契約電力を抑え基本料金の削減につなげることができるのです。

関連記事:高圧電力契約での基本料金の仕組みとは?

 

ピークカットとピークシフトの違い

ピークカットとピークシフトについてご説明してきました。この2つの大きな違いは全体の電力使用量にあります。

ピークカットは、需要が高い時間帯の電気使用量を抑えることで、全体的な電力使用量そのものを削減します。一方ピークシフトは、電力をあまり使用しない時間帯にためておきピーク時間帯に使うだけなので、全
体の電力使用量としては変わりません。

どちらもコスト削減につながる手法ではありますが、全体的な電気使用量が変わってくるのです。

 

ピークカットとピークシフトを導入するには?

実際にピークカットやピークシフトを導入するには、どうしたらよいのでしょうか。ここでは具体的な導入方法についてご説明します。

デマンドコントローラーの設置

ピークカットの手段として、よく使われる機器の一つがデマンドコントローラーです。

デマンドコントローラーとは、デマンド値を常時監視し、接続している電気機器を自動制御する機器です。特に空調や照明で使われることが多いです。

デマンド値が設定した値に近づくと、電気機器を自動調整し、デマンド値が上がらないようにします。例えば「最大需要電力の上限を超えそうになったら、空調Aを自動で消す」のように設定できます。自動制御なので電力を調整する手間がかからず、効率良くデマンド値を抑えることができます。

太陽光発電設備の設置

太陽光発電設備の設置もピークカットに役立ちます。

電力会社から電気を買う代わりに、自社の施設で発電した電力を消費することで、ピーク時の使用を抑えて基本料金を削減することが可能になります。

近年は企業活動による環境負荷を下げる取り組みが活発になっています。電気代削減と環境保護の一石二鳥になる太陽光発電の自家消費は、今後さらに裾野が広がっていくでしょう。

 蓄電池の設置

ピークシフトの主な方法としては、蓄電池の設置が挙げられます。

ピークシフトを実施するにしても、工場設備の稼働を昼間から夜間に移す、出勤日を平日ではなく日曜にする、といった取り組みは容易ではないでしょう。

そこで、蓄電池を使って電気料金の安い夜間に電気をためておき、それを日中に使用することで、日中の電力を削減するといった方法がとられます。

 

まとめ

電気代削減にあたった重要な考え方であるピークカットとピークシフトについて解説してきました。ピークカットとピークシフトを実現するためには、設備改善や運用改善を駆使する必要があります。

また、適切な施策を検討するには、そもそも業務用の電気代がどのように算定されるかという仕組みへの理解も欠かせません。こうした基本的な事柄を抑えたうえで、具体的な対策を検討する必要があります。

 

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