地球環境の改善、持続可能な社会の実現に向け、非化石エネルギーの活用が急務とされています。再生可能エネルギーの活用は、地球温暖化の原因物質を排出せず、永続的なエネルギーの確保を可能とする未来につながる手段です。再生可能エネルギーの基本的知識と取り組みの現状を解説します。
資源エネルギー庁によると再生可能エネルギーは、「永続的に利用可能で、地球温暖化の原因となる二酸化炭素をほとんど排出しない非化石エネルギー源からなるもの」とされています。具体的には、太陽光や風力、水力、地熱などを活用し、永続的なエネルギー確保を実現します。再生可能エネルギーの基本的知識と取り組みの現状を解説します。
※編集部注:【2024年2月14日更新】
再生可能エネルギーとは?
はじめに、再生可能エネルギーの概要と定義、またなぜ導入が必要とされているのかを解説します。
再生可能エネルギーの特徴
資源エネルギー庁によると再生可能エネルギーは「永続的に利用可能で、地球温暖化の原因となる二酸化炭素をほとんど排出しない非化石エネルギー源からなるもの」とされています。具体的には、該当するのは以下のようなものです。
- 太陽光
- 風力
- 水力
- 地熱
- 太陽熱
- 大気中の熱
- バイオマス など
これらは、資源が繰り返し使えることが特徴です。再生可能エネルギーの種類には、太陽光発電や風力発電、水力発電、地熱発電のほか、バイオマス利用、太陽熱利用、温度差熱利用、雪氷熱利用、地中熱利用などによって何らかのエネルギーを得る方法が含まれます。
再生可能エネルギー導入の必要性
再生可能エネルギー導入が必要とされている大きな理由には、以下の2つがあります。
- 温室ガス排出量の抑制
- 国内エネルギー自給率の向上
2011年3月に発生した東日本大震災以降、温室効果ガスが増加し、2013年には最高の排出量が記録されました。これに対抗すべく、2016年のパリ協定では世界の平均気温上昇を1.5度に抑える努力が求められ、温室効果ガスの排出削減が急務です。
温室効果ガスを排出しない再生可能エネルギーを用いることで、パリ協定の目標達成に寄与します。日本は、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の進展を妨げる国として「化石賞」が贈られる常連国という不名誉な状況にあります。エネルギーの8割以上を石油や石炭、天然ガスなどの化石燃料に依存し、ほとんどを輸入に頼っているのが実情なのです。
エネルギー自給率を高めるためには、非化石エネルギー活用への取り組みが非常に重要です。
企業が再エネ導入する方法は複数ありますが、実質再エネの証明、再エネ電源の調達など手法などが取り組みやすいです。
関連記事:非化石証書とは? その仕組みや種類、取引市場について解説
参考:経済産業省資源エネルギー庁「再生可能エネルギーとは」
参考:経済産業省資源エネルギー庁「日本のエネルギー 2022年度版 「エネルギーの今を知る10の質問」
再生可能エネルギーの種類一覧
代表的な再生可能エネルギーと、その特徴を一覧で紹介します。
太陽光発電 |
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風力発電 |
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水力発電 |
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バイオマス発電 |
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地熱発電 |
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太陽熱利用 |
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雪氷熱利用 |
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温度差熱利用 |
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地中熱利用 |
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再生可能エネルギーのメリット、デメリット
持続可能な社会に向け、必要とされる再生可能エネルギーですが、もたらされるメリットがある一方で、デメリットもあります。ここでは、現状における理解しておきたいメリット、デメリットについて解説します。
メリット
- 温室効果ガスの削減
再生可能エネルギーは、化石燃料と異なり、利用時に二酸化炭素(CO2)を排出しないため、温室効果ガスの削減につながります。再生可能エネルギーによる設備の建設や、廃棄などを含めた全体のライフサイクルにおいても、化石燃料発電に比べるとCO2排出を大幅に削減できます。 - エネルギー自給率の向上
資源に乏しくエネルギー自給率の低い日本では、再生可能エネルギーの活用拡大により自給率を向上させることが期待されます。 - 化石燃料調達にともなう経済負担の抑制
2022年以降は、海外の情勢不安により、エネルギー価格が急激に高騰しました。しかし、国内での自給率を高めることで、外部要因による影響が抑えられ経済的負担の軽減につながります。 - 非常時のエネルギーの確保
化石燃料による電力やガスとは異なり、分散型エネルギーのため、災害時でもいずれかのエネルギー源からの供給が可能です。住宅用太陽光発電が、震災後の暮らしを支えた例も見られます。
デメリット
- 発電量の不安定性と電力供給の課題
再生可能エネルギーは、その多くが自然由来のため、自然現象に大きく影響を受けます。太陽光発電における天候や日照時間、風力発電における風力や風向きの変動により、発電量が不安定となることは避けられません。需要に対する供給バランスが課題といえます。 - 大規模設備の必要性と限られた設置場所
日本の電力需要を満たすためには、発電設備の規模を大きくし、発電の効率を向上させることが必要です。限りある国土のなかでは、設置場所が制約されます。 - 高い発電コスト
もっとも普及している太陽光発電であっても、先に挙げた不安定要因や設置場所の問題により、発電コストは現行の電気を大きく上回ります。発電施設の効率化や、自然現象に左右されない設備稼働率など、今後解消すべき課題は数多くあります。
参考:経済産業省資源エネルギー庁「Q1.世界では主力電源が再エネになってきているのに、日本で進まないのはなぜですか?」
再生可能エネルギーの日本と世界における導入状況
これまで見てきたように、再生可能エネルギーの導入は世界的な課題とされています。ここでは、現在の各国の取り組み状況はどこまで進展しているのか、日本と世界における導入状況について解説します。
世界の現状
資源エネルギー庁の発表では、世界の再生可能エネルギー発電設備の容量が2015年に約2,000GW程度まで増加し、もっとも容量の大きい電源となりました。2020年には約3,000GW程度に達しており、世界的に再生可能エネルギーの導入が加速している様子がうかがわれます。
再生可能エネルギー発電比率の国際比較では、2021年時点でカナダが67.2%と第1位を占め、次いでスペイン(46.3%)、イタリア(40.3%)、イギリス(39.6%)、ドイツ(39.6%)など欧州勢が40%前後となっています。
参考:経済産業省資源エネルギー庁「国内外の再生可能エネルギーの現状と今年度の調達価格等算定委員会の論点案」
参考:経済産業省資源エネルギー庁「今後の再生可能エネルギー政策について」
日本の現状
上記の国際比較において日本は20.3%(2021年時点)と、世界に大きく立ち遅れている状態です。ただ、2019年度の再エネ発電設備容量は世界第6位、太陽光発電が世界第3位と、着実な取り組みの成果も見られます。
再生可能エネルギーの導入を表明した2030年度のエネルギーミックスでは、3,300億~3,500億kWhの目標を掲げ、太陽光発電のほか風力発電、新築住宅のZEHの導入強化など、再エネ導入の最大化に向けた姿勢を示しています。
参考:経済産業省資源エネルギー庁「日本のエネルギー 2022年度版 「エネルギーの今を知る10の質問」
再生可能エネルギーの課題
上述しているように、再生可能エネルギーの多くは天候や自然条件に依存します。また、風力発電や地熱発電などの再生可能エネルギーの場合は、計画から運用開始までに長い時間がかかり、事業リスクが高いことも大きな課題です。
更に、現行のエネルギーと比べるとエネルギー密度が低く、高コストである傾向があります。再生可能エネルギーを消費者に届けるためには、送電設備が必要です。しかし、電力系統の構造がこれまでのエネルギーの特性と合わない場合は、新設備の創設および新しいルールの設定が求められます。
このように、既存エネルギーからの完全な置き換えは、現状では困難です。しかし、社会の未来のためには電力システム全体の改革を進めながら、各事象に柔軟に対応し、再生可能エネルギーの主力電力化に向けた確実な歩みが必要となります。
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再生可能エネルギーの導入は、将来的な電力供給のために必要な措置といえます。再生可能エネルギーについて理解し、より賢く電力会社を選んでいく必要があります。
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