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エネルギーマネジメントシステム(EMS)とは?

エネルギーマネジメントとは、工場やビルなどの施設におけるエネルギー使用状況を把握した上で、最適なエネルギー利用を実現するための活動を指します。

そういった活動を支援するためのシステムが、エネルギーマネジメントシステム(EMS)です。EMSによってエネルギー使用状況の「見える化」や、管理・分析・制御といった、全般的なエネルギーマネジメントが可能になります。

管理する対象の施設によってEMSの種類はさまざまです。

工場向けであればFEMS(Factory Energy Management System)、ビル向けであればBEMS(Building and Energy Management System)といったものがあります。

この記事では、EMSの種類や現在の普及状況などを解説していきます。

主要なEMS

BEMS

BEMS(Building and Energy Management System)は、オフィス・商業ビルなどを対象としたエネルギーマネジメントシステムです。建物内に取り付けられたセンサーによって収集されたエネルギーデータを活用し、ビルの省エネを実現します。

こうした建物ではBAS(中央管理システム)によって電力や防犯、防災などの設備をすべてカバーしている場合が多いです。BEMSは中でもエネルギーに特化して管理する点が、BASとの大きな違いになります。

政府は2030年までに、新築のビルでは、消費する年間の一次エネルギーの収支をゼロにするZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の実現を目指しています。BEMSはそのための重要なシステムと位置付けられているのです。

BEMSの導入例として、東京都が公開している中小テナントビルの事例をご紹介します。

ライオンビジネスサービス株式会社が管理する、ライオン両国ビル(東京都墨田区)を例に挙げます。同ビルは地上10階、地下1階建てで、延床面積は約8400平方メートルです。

BEMS導入前では、目視と手動で電力デマンドを管理していました。夏期には冷凍機がフル稼働して、契約電力を超えてしまうこともあったといいます。

BEMS導入によって、契約電力を超過しそうになると警報で通知できるようになりました。また、事前にシステムに登録しておいた換気ファンなどが自動で停止するようになり、契約電力超過を防げたそうです。

また管理室から室内温度を把握し、空調設備を遠隔制御することで、快適性と省エネを同時に実現しています。フロア単位で使用電力量を「見える化」する仕組みが整い、建物全体の電力消費量を導入前に比べて21%削減できたといいます。

HEMS

HEMS(Home Energy Management Service)とは、住宅のエネルギーを消費者自らが把握し、管理するためのエネルギーマネジメントシステムです。

電力測定ユニットを家庭の分電盤に設置し、電気機器を無線のネットワークにつなぎます。これにより室内のエネルギー使用状況をタブレット端末やパソコン画面などで確認できるようになります。

さらに電化製品をネットワークにつなげれば、外出先からエアコンを操作するといった遠隔操作も可能です。

政府は、民間主導によるHEMSの普及を加速化させ、2030年度までに全世帯(約5000万世帯)へ設置する目標を掲げています。

 

FEMS

BEMSによるエネルギー管理の対象は受配電設備が中心だったのに対し、工場を対象とするFEMS(Factory Energy Management System)はさらに生産設備のエネルギー管理も実施する点が特徴です。

では、経済産業省が公開しているFEMSの事例をご紹介します。

ある製紙工場では、外部からの買電量を削減するために、バイオマス発電設備を新たに設置しました。その際にFEMSも導入することで、既存の発電設備とバイオマス発電設備の発電バランスを最適化することに成功しました。買電量をさらに削減できたといいます。

 

CEMS

CEMS(Community Energy Management System)は、地域という広い範囲でエネルギーを管理するEMSです。そのためBEMSやFEMS、HEMSといった個々の施設を管理するEMSを包括する仕組みとなります。

地域内のエネルギー使用を最適化する、スマートグリッド・スマートコミュニティと呼ばれる取り組みでは欠かせない仕組みです。

一例として、経済産業省が公開している第二仙台北部中核工業団地(宮城県大衡村)のケースをご紹介します。

この工業団地には自動車関連企業をはじめ、7社が進出しています。事業組合が主体となって、電力の発電や供給を行っています。

CEMSによってエネルギー需要を予測した上で、最適なエネルギー供給量を調整しています。また、需給バランスを監視しつつ需要側のピークカット・ピークシフトを促進し、エネルギーコストを削減しているそうです。

CEMSの説明画像(出典:「スマートコミュニティ事例集」(経済産業省)を加工して作成)

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EMS市場の状況

EMS市場はどれくらいの規模なのでしょうか?今後の市場予測も含め、総合マーケティング会社の富士経済グループ(東京都中央区)が調査レポートを公開しています(2020年)。

同レポートによると、EMSと関連設備・サービスを含めた国内市場は、2021年度見込みで約696億円です。2035年度には1.2倍の879億円に拡大する見込みです。

これはERABによる需要や、エネルギー用途以外の機器との接続による付加価値の向上などにより、市場が拡大すると考えられているからです。

出典:「2020 エネルギーマネジメントシステム関連市場実態総調査(富士経済)を加工して作成

国内EMS市場の推移

EMS市場は、短期的には新型コロナウイルス感染症による景気後退の影響を受けるとみられています。

しかし、中長期的には人手不足に伴う業務効率化・自動化ニーズの高まりや2050年のカーボンニュートラル実現に向けて再エネ・省エネニーズが拡大すると予想されます。

EMS関連システム・サービスでは、特に設備の遠隔監視・保守管理や見守りといった設備監視システム関連が、定期点検やメンテナンス管理の省力化ニーズの高まりにより伸びるでしょう。

HEMSをはじめとするEMSは、住宅分野においてはZEHやIoT住宅、スマートマンションをキーワードとした高付加価値型住宅での需要が高まるとみられています。

また、業務・産業分野においては、設備管理・エネルギー管理の省力化・自動化ニーズの高まりにより、採用が増加すると考えられます。

出典:2020 エネルギーマネジメントシステム関連市場実態総調査(富士経済)を参考にして作成

 

 

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