<img height="1" width="1" style="display:none" src="https://www.facebook.com/tr?id=2677641659138633&amp;ev=PageView&amp;noscript=1">

省エネ設備の補助金一覧、令和3年度予算の概要と共に解説

 

企業による省エネ施策に対しては、数多くの補助金制度が用意されている。

ただその存在や詳細を知らず、十分に活用できていない企業も少なくないようだ。

各省が公表した令和3年度予算概要の中には、省エネや再エネ関連の補助金事業も含まれている。

この記事では、今回発表された予算概要に含まれる省エネ補助事業の中でも、経済産業省と環境省、国土交通省、一部自治体による代表的な制度を紹介する。

2021年度の補助金を申請するにあたって参考になるよう、予算案に含まれた補助金事業概要や例年との違い、毎年の採択結果の推移などにも触れていく。

新規CTA

 

経済産業省による省エネ補助事業

経産省による代表的な省エネ補助金制度は以下だ。

 

「先進的~」の概要(出典:資源エネルギー庁資料より)

1-Mar-02-2021-08-17-52-03-AM

 

先進的省エネルギー投資促進支援事業費補助金

令和2年度までの10年間は、「エネルギー使用合理化等事業者支援事業」(エネ合)という名称だったが、令和3年度からの10年間は、上記名称で実施されることになる(事業概要パンフレット)。

エネ合では、設備導入による省エネ効果を「工場・事業場単位」と「設備単位」という2つの分類だったが、「先進的な~」では次の4事業での分類になる。各事業ごとに補助対象となる設備が異なる。

  • 先進事業
  • オーダーメイド型事業
  • 指定設備導入事業
  • エネマネ事業

 

先進事業

「先進的」な省エネ設備等の導入に対する支援。対象となる設備については、「先進的な省エネ技術等に係る技術評価委員会」等での検討の後、公募によって決まる。対象となる設備・システムのリストはホームページ上に公開されている。

補助対象は、該当する設備の設計費・設備費・工事費となる。

先進事業の事業イメージ(出典:資源エネルギー庁資料より)

1-Feb-24-2021-11-25-35-42-AM

以下いずれかの省エネ効果の要件を満たす必要がある。

  • 省エネ率:30%以上
  • 省エネ量:1,000kl以上
  • エネルギー消費原単位完全率:15%以上

 

また補助額と補助率は以下となる。

  • 補助額(上限):15億円/年度
  • 補助額(下限):100万円/年度
  • 補助率(中小企業者等):2/3以内
  • 補助率(大企業・その他):1/2以内

 

オーダーメイド型事業

個別設計が求められる特注設備の導入や設備更新、プロセス改修、複数事業者が連携した省エネの取り組みに対して支援する。

オーダーメイド型事業の事業イメージ(出典:資源エネルギー庁資料より)

1-Feb-24-2021-11-27-06-87-AM

補助対象設備として、以下の4種類が挙げられている。

  • 新規設計の設備(フルオーダー品)
  • 類似設計の設備(カスタマイズ品)
  • システム設計を伴う設備(生産設備等を組み合わせた製造ライン)
  • システム設計を伴う設備(自動化装置等を組み合わせた製造ライン)

 

以下いずれかの省エネ効果を達成する必要がある。

  • 省エネ率:10%以上
  • 省エネ量:700kl以上
  • エネルギー消費原単位改善率:7%以上

 

また補助額と補助率は以下となる。

  • 補助額(上限):15億円/年度
  • 補助額(下限):100万円/年度
  • 補助率(中小企業者等):1/2以内
  • 補助率(大企業・その他):1/3以内

 

指定設備導入事業

空調や業務用冷蔵庫など、省エネ性能の高いユーティリティ設備や生産設備などへの更新を支援。「指定設備」の一覧はホームページで公表されている。

ユーティリティ設備の区分は以下の9つ。

  • 高効率空調
  • 産業ヒートポンプ
  • 業務用給湯器
  • 高性能ボイラ
  • 変圧器
  • 高効率コージェネレーション
  • 冷凍冷蔵設備
  • 産業用モータ
  • 調光制御設備

 

また生産設備の区分は以下となる。

  • 工作機械
  • プラスチック加工機械
  • プレス機
  • 印刷機械
  • ダイカストマシン

 

補助額については、設備の種別やスペック等ごとに定額で補助されることになる。

  • 補助額(上限):1億円/年度
  • 補助額(下限):30万円/年度


指定設備導入事業の事業イメージ(出典:資源エネルギー庁資料より)

1-Feb-24-2021-11-28-14-08-AM

 

エネマネ事業

エネマネ事業者と連携しながらのEMS制御や運用改善といった取り組みへの支援。該当する設備の導入にかかわる設計費・設備費・工事費が補助対象となる。対象となるエネマネ事業者は、全158社となっている。

エネマネ事業の事業イメージ(出典:資源エネルギー庁資料より)

1-Feb-24-2021-11-29-13-11-AM

求められる省エネ率は、原油換算量ベースで2%以上。「EMSの制御効果と省エネ診断等による運用改善効果」として実現する必要がある。

また補助額と補助率は以下となる。

  • 補助額(上限):1億円/年度
  • 補助額(下限):100万円/年度
  • 補助率(中小企業者等):1/2以内
  • 補助率(大企業・その他):1/3以内

 

直近の採択率

「先進的省エネルギー投資~」は令和3年度から開始のためまだ採択実績はないが、参考情報として前身の「エネ合」での採択結果をまとめた。

直近の採択結果は、以下のようになっている。平成31年度までは、「工場・事業場単位」「設備単位」共に、申請件数が年々減少する一方で、採択率は上昇する傾向にあった。ただ令和2年度に入ると申請件数が増加に転じたことで、採択率は下降している。

補助金の採択結果。令和2、平成31302928年度の採択結果を元にまとめ(出典:環境共創イニシアチブWebサイトより)

1-Feb-25-2021-06-39-16-79-AM

 

こうした補助金に関する情報は複雑で、自社に当てはめて検討することが難しいことも多い。以下のように、実際に補助金を使って省エネを達成した事業者による事例も、検討の参考になりそうだ。

 

環境省による省エネ補助事業

経産省による省エネ補助事業がエネルギーの消費効率改善に焦点を置いているのに対して、環境省による事業はCO2の排出量削減を重視している点が特徴だ。

従来の主要事業は、CO2削減計画の策定を支援する「CO2削減ポテンシャル診断推進事業」と、設備投資を補助する「ASSET事業」(先進対策の効率的実施によるCO2排出量大幅削減事業)。

これらは令和3年度から「工場・事業場における先進的な脱炭素化取組推進事業」の中に組み入れられる。

「工場・事業場~」の概要(出典:環境省資料より)

1-Mar-02-2021-08-19-00-36-AM

 

工場・事業場における先進的な脱炭素化取組推進事業

CO2排出量削減に向けた2030年・2050年目標の達成支援を念頭に置いている同事業だが、支援・補助内容は、大きく分けて以下の2つとなる。前者が従来でいうポテンシャル診断、後者がASSET事業の流れを汲んでいる。

  • 脱炭素化促進計画の策定支援(補助率1/2、補助上限100万年)
  • 設備更新に対する補助(補助率1/3、補助上限1億円、もしくは5億円)

 

「脱炭素化促進計画の策定支援」では、CO2排出量の削減余地の診断や、「脱炭素化促進計画」の策定を支援する。対象はCO2排出量50t〜3000t未満の工場・事業場を保有する中小企業だ。2021年度の公募によって決まる支援機関が現地調査を実施し、エネルギー使用状況の把握や改善提案などを行うという内容だ。

「設備更新に対する補助」は、「脱炭素化促進計画」のための設備更新の補助を目的とした事業。「設備補助A」と「設備補助B」の2種類がある。

大きな違いの一つは補助上限額で、Aは上限1億円、Bは上限5億円となっている。Bのほうが補助額が大きい分、より多くのCO2排出量削減が求められる、といったハードルがある。

環境省の担当者によると、設備補助Bの典型的な補助対象の一例は、ボイラータービンジェネレーターを重油炊きからガス炊きの設備に更新する、といった内容を想定しているという。ただしもちろん条件を満たしていれば他の設備でも申請可能だ。

AとB共に、補助を受けると排出量の削減目標が課されるが、削減目標を達成できなかった場合は、CO2排出枠を他の参加事業者から購入しなければならない、という点は従来のASSET事業と同様だ。

逆にいえば目標を上回る削減量を達成できた場合は、排出枠を売却して利益を得られる。

同事業では、こうした市場メカニズムを採用することで削減インセンティブを刺激し、補助金の費用対効果向上を狙っているのだ。

ただしASSET事業からの変更点もある。

従来のASSET事業は、小さい補助額でより多くの排出量削減につなげることを重視していたため、費用対効果の高い(削減量1トンあたりに必要な補助額が小さい)事業から採択するという特徴があった。

そのためまだ施策が手つかずで、排出量削減余地が大きい事業などが、比較的採択されやすい状況だった。

しかし令和3年度からは、費用対効果のほかにも削減量や削減率など、複数の基準を採択時により重視していくという。

またASSET事業では、設備導入で補助を受ける場合は環境省が認定する「L2-Tech認証製品」である必要があったが、令和3年度からその縛りはなくなる。

採択件数について、参考までにASSET事業の情報を記載する(申請件数が非公表のため、採択率は不明)。平成29年度までは、三次採択まで実施されていたが、直近3年間は一次採択のみとなっていることから、ASSET事業へのニーズの高まりが伺える。

※出典:報道発表資料(環境省サイト)より引用

 

大規模感染リスクを低減するための高機能換気設備等の導入支援事業

同じく環境省による補助金。オフィスや飲食店、小売店舗、ホテル、医療施設、学校、各種集会所など、「不特定多数」が集まる業務用施設を対象として、換気設備(全熱交換型)の導入(更新・増設・新設)や高効率空調等の改修(新築の場合は新設を含む)などを補助する。

環境省によると、ここでいう「不特定多数」の定義は特に明確にされておらず、「ある程度長期間にわたって様々な従業員や取引先、顧客などが出入りする施設」であれば不特定多数と見なされ得るという。

業務用施設での感染リスクの低減とCO2排出量の削減を意図しているため、導入する設備もその目的に沿う必要がある。

主要な達成条件は以下だ。

      • 室内の必要換気量(1人あたり毎時30m3)を満たすこと
      • 感染症対策の視点から換気量(一人あたり毎時 30m3)が減少する計画はNG  
      • 導入前と比べて、CO2排出量を3%以上削減(施設全体もしくは対象室内)できる設備であること

 

また導入設備に関する条件は以下のようになる。

・換気設備(全熱交換型)の導入は必須
・空調設備(任意)を導入する場合は、換気設備と同じ室内に設置すること
・LED照明への更新は補助対象外だが、排出量削減効果に含めることは可能

補助対象となる設備(出典:SERAのWebサイト掲載の公募要項より)

1-Mar-17-2021-02-35-36-54-AM

 

◆公募期間

      • 1次公募:2021年3月16日~4月27日
      • 2次公募:2021年6月ごろ(予定)

◆補助額・率

      • 補助額:換気設備とその他設備でそれぞれ最大1,000万円
      • 補助率:2分の1

◆補助対象経費

設備費と工事費

※2021年1月8日以降に契約・発注した事業が対象

※2022年1月31日までに事業を完了することなどが条件

 

建築物等の脱炭素化・レジリエンス強化促進事業

環境省による補助金(経産省・国交省・厚労省と連携)で、「二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金」の中の事業の一つ。業務用施設のZEB化や省CO2改修の支援を目的としている。


5つの事業で構成されているが、一般的な企業に関連し得るのは次の3事業になる。

      • レジリエンス強化型ZEB実証事業
      • ZEB実現に向けた先進的省エネルギー建築物実証事業
      • 既存建築物における省CO2改修支援事業

 

いずれも補助対象は設備費と工事費。また既存と新築どちらが対象になるかは事業によって異なる。

 

レジリエンス強化型ZEB実証事業

業務用施設のZEB化を念頭に、再生可能エネルギー設備や蓄電池、省エネ型の高機能換気設備などを補助。ただしあくまで災害時の活動拠点となる、公共性の高い施設(庁舎や公民館等の集会所、学校等)であることなどが条件となる。

補助対象となる建築物の条件は以下。

      • 延べ面積が1万平方メートル未満の新築民間建築物
      • 延べ面積が2,000平方メートル未満の既存民間建築物
      • 地方公共団体所有の建築物(面積上限なし)

 

さらに災害時を想定した建築物である必要があるため、主な補助要件として以下が挙げられている。

      • 水害等の災害時における電源確保等に配慮された設計であること
      • 災害発生に伴う長期の停電時においても、施設内にエネルギー供給を行うことができる再エネ設備等を導入すること
      • 省エネ型の第一種換気設備を導入すること
      • 需要側設備等を通信・制御する機器を導入すること

 

補助率はZEB化の水準によって異なる。

      • ZEB:3分の2
      • Nearly ZEB:5分の3
      • ZEB ready:2分の1

レジリエンス強化型ZEB実証事業の概要(出典:環境省資料より)

1-Mar-17-2021-04-53-08-15-AM

 

ZEB実現に向けた先進的省エネルギー建築物実証事業

ZEB化を実現するためのシステムや設備などの導入を支援する事業。補助対象の建築物は以下の3種類となる。

      • 延べ面積1万平方メートル未満の新築民間建築物
      • 延べ面積2,000平方メートル未満の既存民間建築物
      • 地方公共団体所有の建築物(面積上限なし)

※2,000平方メートル未満のZEB Readyは補助対象外

補助率については、建物の延べ面積やZEBの種類などによって細かく分かれている。

補助率一覧(出典:環境省資料より)

1-Mar-17-2021-06-48-02-54-AM

 

既存建築物における省CO2改修支援事業

テナントビルや既存の業務用施設などによる省CO2化を目的として、高効率設備などの導入を補助する事業。3つの事業に分類される。いずれも既存の建築物が補助対象となる。

1つ目が「民間建築物等における省CO2改修支援事業」。既存の民間建築物において省エネ改修や運用改善を支援する。補助額は最大5,000万円で、補助率は3分の1。空調やBEMSなどの導入費用が補助対象となる。

2つ目が「テナントビルの省CO2改修支援事業」。建築物のオーナーとテナントが協働して省CO2化を図る取り組みを補助する。補助額は最大4,000万円となっている。

3つ目が「空き家等における省CO2改修支援事業」。空き家などを業務用施設に改修しつつ、省CO2化を実現する事業を補助。省CO2性の高い設備機器などの導入が補助対象となる。補助率は2分の1となっている。

それぞれの事業の補助内容は次の通り。

3事業の補助内容(出典:環境省資料より)

1-Mar-17-2021-07-00-41-43-AM

 

新規CTA

 

国土交通省による省エネ補助事業

国土交通省による主な省エネ補助金は以下。民間事業者による省エネ改修工事などに対して、費用の一部を支援する制度だ。


工事の対象は既存の建築物、かつオフィスビル等である必要がある。工場や実験施設、倉庫などは対象外だ。

さらに躯体(外皮)の省エネ改修(断熱材や複層ガラスの設置など)が必須であることや、建物の改修工事による省エネ効果が20%以上などの要件がある。

直近の申請件数と採択率は以下の通り。

環境・ストック活用推進事業の採択結果(国土交通省のサイトを元に作成)

1-Mar-01-2021-10-49-19-76-AM

 

全国の自治体による省エネ補助事業

都道府県や市区町村のレベルでも、法人向けエネルギー関連の補助金・助成金は数多く用意されている。ここではその中のほんの一部を紹介。本記事の下にあるパートにて、全国の自治体による補助金一覧シートをダウンロードできるため参考にしてほしい。

東京都:LED照明等節電促進助成金

都内で製造業を営む中小企業などを対象に、LED照明やデマンド監視装置などの導入費用を支援する「LED照明等節電促進助成金」。前年の令和2年度の助成額は最大1,500万円(助成率1/2)だった。

 

東京都板橋区:事業所用新エネおよび省エネ機器導入補助金制度

温室効果ガス削減効果の高い設備などを設置する事業者に対して、経費の一部を補助する「事業所用新エネおよび省エネ機器導入補助金制度」。板橋区内に事業所などを有する中小企業などが対象となる。毎年度実施されているため、令和3年度も実施される可能性が高い。

 

神奈川県:蓄電システム導入費補助金

住宅や事業所に太陽光発電システムと蓄電システム、災害用電気設備を新たに導入する経費の一部を補助する「蓄電システム導入費補助金」。例年実施されているため、令和3年度も実施される可能性が高い。

 

川崎市:市内事業者エコ化支援事業

川崎市内の中小規模事業者による太陽光発電設備等の再生可能エネルギーの導入や照明設備、空調設備等の更新を補助する「市内事業者エコ化支援事業」。令和3年度も実施予定だ。

 

関連記事:空調設備で使える省エネ補助金を解説

関連記事:中小企業が使える助成金一覧(1)

 

今すぐ使える助成金を診断します

貴社で今すぐ活用できる助成金を診断します。6つの質問(チェックボックス)に答えるだけで、貴社で受給できる可能性の高い助成金がサイト上で表示されます。

入力欄のイメージ

1-Jun-02-2021-02-02-36-35-AM

診断結果のイメージ

1-Jun-02-2021-02-18-31-00-AM

申請を希望される助成金が見つかった場合は、「申請の相談をする」ボタンを押して自社情報をご入力ください。

助成金支援の専門スタッフからご連絡を差し上げます。

費用は成果報酬型です。実際に助成金の受給が決まるまでは一切発生しません。

またご入力いただいた情報は、公的支援制度の申請支援関連業務以外には使用いたしませんので、ご安心ください。

コスト削減に悩む中小企業の方々のお役に立てれば幸いです。

新規CTA