中小企業による省エネ施策の実態を把握する上で、関東経済産業局が先日発表した調査結果が参考になりそうだ。
関東経済産業局が発信するメルマガ購読者を対象にした同調査では、188社の中小企業が回答。8割以上が製造業だ。
回答企業の業種(出典:「中小企業における省エネルギーへの取組に係る実態調査」(関東経済産業局)を加工して作成
省エネに取り組んでいるかという質問に対しては、65%が「取組を行っている」と回答した。
回答企業による省エネの取り組み状況(出典:「中小企業における省エネルギーへの取組に係る実態調査」(関東経済産業局)を加工して作成
また「取組を行っている」と回答した65%に対して、具体的な取り組みを尋ねた設問では、次のような結果になった。
取り組んでいる省エネ行動(出典:「中小企業における省エネルギーへの取組に係る実態調査」(関東経済産業局)を加工して作成
「ある程度の投資を必要とする省エネルギー行動」という項目がトップであることから、省エネ投資も厭わず比較的積極的な姿勢が伺える。
また省エネに取り組む理由に関する項目では、中小企業にとって最も関心が高い「経営コストの削減」(102社)が最多だった一方で、「環境負荷低減」(93社)や「ISO14000、エコアクション等、環境標準への対応のため」(49社)といった環境関連の多さも目立つ結果となった。
省エネに取り組む目的(出典:「中小企業における省エネルギーへの取組に係る実態調査」(関東経済産業局)を加工して作成
また「省エネルギー推進にあたって、苦労した点」としては、「省エネルギーに詳しい人材がいなかった」が最も多く、次いで「何から手を付けたら良いのか分からなかった」となった。
省エネで苦労した点(出典:「中小企業における省エネルギーへの取組に係る実態調査」(関東経済産業局)を加工して作成
省エネを検討する中小企業にとって情報やノウハウ、人材の不足がネックになっている現状が、改めて浮き彫りになった形だ。
またそうした課題を解決するための取り組みとしては、人材育成や他社事例の活用、外部講習会への参加などが挙げられた(自由回答)。
省エネ実施の際の課題解決方法(出典:「中小企業における省エネルギーへの取組に係る実態調査」(関東経済産業局)を加工して作成
一方でまだ「省エネルギーに取り組んでいない」と回答した45社に対して、理由を尋ねたところ「労力や時間がない」「人材がいない」が最も多かった。
省エネ施策に取り組まない理由(出典:「中小企業における省エネルギーへの取組に係る実態調査」(関東経済産業局)を加工して作成
さらに同調査では、全回答者に対して、エネルギー使用状況の見える化施策について尋ねている。「見える化」を通じて省エネ(最大需要電力のピークカットなど)に取り組んでいるかという質問だ。
「見える化を実施して省エネにも活用」と答えた割合が29.3%となり、さらに「主要機器の見える化」にまで踏み込んで省エネしている(14.4%)と答えた回答者と合わせると、約44%が省エネの一環として見える化に取り組んでいる結果となった。
「見える化」施策の活用状況(出典:「中小企業における省エネルギーへの取組に係る実態調査」(関東経済産業局)を加工して作成
最後にSDGsとESG投資への対応についても質問している。SDGsへの対応状況について、「取り組んでいる」は5.3%にとどまった。しかし「知っているが具体的な検討はしていない(検討中も含む)」(42%)や「知らないが、関心はある」(13.3%)の割合は比較的多いことから、興味関心を寄せる企業は一定数いることが伺える。
SDGsへの対応状況(出典:「中小企業における省エネルギーへの取組に係る実態調査」(関東経済産業局)を加工して作成
・関連記事:社会貢献を打ち出し優秀な人材を採用、中小企業のSDGs
一方でESG投資への対応については、「知っているし、重要視している」は3.7%にとどまったほか、「わからない」(48.9%)も半数に上っていることから、SDGsと比べると関心は薄い状況といえそうだ。
ESG投資への対応状況(出典:「中小企業における省エネルギーへの取組に係る実態調査」(関東経済産業局)を加工して作成
・関連記事:中小企業による省エネ施策の現状
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