※編集部注:【2024年10月24日更新】
電気料金の請求書に「力率割引」、もしくは「力率割増」という言葉が記載されているのにお気づきの方もいるでしょう。力率とは、毎月の電気料金を決定する要素のひとつです。力率を改善することで電気料金を削減できる可能性があります。
電力会社によっては、2024年から低圧電力や一部の契約区分において力率割引を廃止する動きもありますが、法人向けの高圧・特別高圧電力の場合、引き続き力率割引を利用できる電力会社が一般的です。
本記事では電気料金の請求書に記載のある「力率割引」について解説していきます。力率の概要や計算方法、どうすれば力率割引が適用されるのか、また電気料金を削減する方法についてご紹介します。
そもそも力率とは
力率とは、ずばり皮相電力の大きさに対する有効電力の大きさの割合と定義されます。この説明を聞いただけではよくわかりませんよね。わかりやすく分解してみましょう。
力率とは、電源から送り出される電力に対する実際に消費された電力の割合
皮相電力 | 電気を使う機器を動かすために消費される電力のこと。 |
有効電力 | 有効電力とは、実際に使われる電力のこと。 |
つまり、力率とは、電源から送り出される電力に対して、実際どれくらい電力が消費されたかを表すのです。消費されなかった電力は無効電力として、電源と機器の間を行ったり来たりしています。
力率と効率の違いは
力率と効率って何が違うの?という質問がよくあります。力率と効率、それぞれの言葉の違いを見てみましょう。
力率 | 電源から送り出された電力に対して、有効に使われた電力の割合のこと。 |
効率 | 電気を使う機器に渡った電力がどれくらい損失を出さずに電気が使われたかの割合のこと。 |
力率が高くても、電気を使う機器側で損失が出て、熱に変わった電力が多ければ多いほど効率が悪いということになります。
力率割引とは
電気料金の請求書に記載がある力率割引とは何なのでしょうか?どのような条件で割引は適応されるのでしょうか。
力率割引と力率割増の計算式
力率割引は基本料金に適用される割引です。電力会社の立場からすると、電源から送り出したのに使われなかった電力は実際に使われていない電力なので、請求することができません。そのため、使用者にできるだけ高力率で電気を使ってもらうために作られた仕組みが力率割引です。
力率は以下のように計算されます。
力率(%) = 実際に消費された電力(有効電力) ÷ 電源から送り出された電力(皮相電力) × 100
高圧・特別高圧の場合、力率が85%を上回る場合は基本料金を1%割引し、85%を下回る場合は基本料金を1%割り増しします。
力率割引の電気料金へのインパクト
力率85%以上であれば基本料金の割引が受けられ、逆に85%を下回ると基本料金が割り増しになることがわかりました。力率割引を受けた場合と受けられなかった場合、どれくらい電気料金に差が出るのでしょうか。電力100kW、基本料金単価1,989円の場合の年間の基本料金で見てみましょう。
基本料金は、以下の式で求められます。
料金単価 × 契約電力 × (185 - 力率) ÷ 100
基本料金単価は東京電力株式会社の高圧電力単価をもとにしています。
契約電力/月 | 基本料金単価 | 割引・割増係数 | 期間 | 基本料金/年 | |
力率100%の場合 | 100kW | 1,989.00円 | 0.85 | 12か月 | 2,028,780円 |
力率90%の場合 | 100kW | 1,989.00円 | 0.95 | 12か月 | 2,267,460円 |
力率85%の場合 | 100kW | 1,989.00円 | 1.00 | 12か月 | 2,386,800円 |
力率80%の場合 | 100kW | 1,989.00円 | 1.05 | 12か月 | 2,506,140円 |
15%の割引となる力率が100%の場合と割引のない85%の場合では、約36万円も差が出ることがわかります。
更に、割り増しとなる力率80%の場合、力率100%の場合に比べて年間約48万円も多く基本料金を払わなければなりません。電気を多く使用する高圧契約の法人だと、力率割引の有無で電気料金が大きく変わることがわかりますね。
関連記事:高圧電力契約での基本料金の仕組みとは?
力率を改善するには
力率が85%以下だと、基本料金が割り増しになることがわかりました。基本料金の割引を受けるためには力率を改善する必要があります。力率改善をするにはどうしたらよいのでしょうか?
コンデンサの設置を検討する
有効に使われている電力を調整することができる「コンデンサ」の設置により、力率の改善が見込めます。
コンデンサや力率改善の方法については、月に一度来ている電気主任技術者が作成している点検報告書が役に立ちます。報告書に目を通したり、電気主任技術者に相談してみましょう。
もっと手軽なコストダウン方法があります
力率を改善することで力率割引を受けられることがわかりましたが、もっと簡単に電気代を下げる方法があります。それは電力会社を見直すことによって、単価の安い電力会社へ切り替える方法です。
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