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中小企業のIoTは自社でできる、旭鉄工の新会社が手がける支援策

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自動車部品メーカーの旭鉄工株式会社(愛知県碧南市)の木村哲也社長が、2016年に立ち上げたi Smart Technologies(iSTC)。旭鉄工として蓄積したIoTノウハウを元に、製造ラインのIoTデータモニタリングサービス提供やコンサルなどを手がけています。

同システムは既存の生産設備に簡単に設置できるほか、1ラインあたり月額1万円ほどという低予算で導入できることから、すでに中小企業を中心に200社以上の導入実績を積み上げています。

さらに木村氏は、2018年に自社ノウハウを書いた著書「Small Facetory 4.0」を出版しました。

製造業によるIoT分野での存在感をますます強めるiSTCの取り組み内容とは?

木村氏が「新価値創造展2019」(11月29日)で語った内容を書き起こしでお伝えします。

 

前回の記事

3つの導入・活用支援

我々(iSTC)は製造業から派生して、3つのIoT支援サービスを提供しています。一つ目はIoTデータモニタリングサービス。二つ目はデータを分析するレポート。三つ目が改善方法の教育です。

モニタリングの特長は、既存の設備に簡単なセンサーを付けるだけで、データを取得できる点。取得したデータをクラウド上にアップしスマホやタブレットなどで閲覧できます。

 

iSTCによるIoTデータモニタリングサービスの画面例(同社サイトより)

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モニタリングのための汎用センサーは設備を選ばず簡単に取りつけられますし、大体1時間もあれば大概の設備のデータを可視化できます。すごく簡単なシステムなので、最近我々はこのシステムをお客さまに宅急便で送って自分でつけてもらっています。

費用は月額料金制で、1ラインあたり月額1万円ほどです。そのため生産性が1~2%向上すれば元が取れるレベルでしょう。今は200社以上の導入実績があります。業種としては、機械加工はもちろんですが、瓦屋さんや食品関連など幅広く使っていただいています。

ただデータの見方が分からないというお客さまも多いので、そういう場合は我々が代わりに改善レポートを書きます。これはかなり好評で、これまでに200通以上の実績があります。

一方でレポートを元にどう改善すべきか分からないケースも多いので、改善方法の教育も手掛けています。コンセプトは、改善の「市民ランナー」を育成すること。別にオリンピックの金メダリスト級の改善者である必要はありません。金メダリストを何人も育てるのは非常に難しいですが、市民ランナーであれば育てられます。今の旭鉄工にはこの「市民ランナー」がいっぱいいて、大きな成果につながっています。

改善のポイントはいくつかあります。たとえばデータを元に人の動作を改善する時は、私であればまず足の動きをみます。あとは手や目の動き。そういった無駄な動きを見つけて減らします。こういう切口を知っているか知らないかが重要なのです。これを知った人は「意外とこれで良いのか」という反応です。コツが分かれば改善点はそんなに難しくないので自分でできるようになります。

また自社で改善できるようになるために、システムの使い方や改善の知識を動画で学べるコンテンツも用意しています。我々がわざわざ行ってお教えしなくても良いようになっているのです。

さらにコンサルティングもしています。特定のラインを対象にして、3ヵ月で改善ノウハウをお教えします。これを学べば他のラインにも応用できますし、我々が帰ってからもあまり落ちないんですね。

仮に私が「こうこうこうして」と言えば改善するのですが長続きはしない。何かの拍子に戻ってしまう。しかし活動方法やノウハウを学んでしまえば応用がきくので後戻りしません。これは3ヵ月しかやりません。要望をいただければそれ以上やりますが、基本的に3ヵ月でビシッとやめたい。

 

IoTデータで経営・経済状況をリアルタイムに把握

また最近取り組んでいるのが、経営と金融分野でのIoT活用です。

旭鉄工は生産個数と停止時間、サイクルタイムを自動で取っていますが、生産個数と停止時間は経営に直結すると思っています。

たとえば1ラインしかない小さい会社をイメージしてください。

そこでの生産個数は売上にバッチリ比例するはずです。また稼働時間は労務費に比例するはず。そして停止時間は改善余地を示す。これは経営の数値とほぼ同じだと思っています。

つまり単にIoTで信号や温度のデータを取っても経営と直結しませんが、生産個数や稼働時間、停止時間を取ると経営を手の中でみているのと同じになる。

そうであれば金融機関がIoTデータを手にすることで、顧客企業の経営や事業性をリアルタイムで確認・評価できるだけでなく、マクロ経済のリアルタイム把握にもつながると思っています。

たとえば銀行が生産数をモニタリングできれば、「それでは拡販のお手伝いをしましょうか」といった決断が決算の数値を待たずともリアルタイムでできます。

また事業性評価ですが、たとえばM&Aのデューデリジェンスなどでは、銀行が現場の状況を把握することが難しいことが多い。けれどもレポートがビシッと出ていると、改善余地も分かるので、「ではこれくらい改善したらもう少し利益が増えそうだから、金額の査定も変えられそうです」といった話ができる。IoTによる企業価値算定ができるのです。

あとマクロ経済のリアルタイム把握ですが、実は我々はもうやっています。お客さまの生産数のデータを手元でインデックス化しているのですが、マクロ経済とどうも連動しているらしいというのがすでに分かっています。これをもっと広げることで、うちの手元で経済の先行指標が分かることになるかもしれません。

 

4本目に続く