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IoT導入の社内ハードルを越えるには?旭鉄工は「面白いからやる」

自動車部品の生産を手がける旭鉄工株式会社(愛知県碧南市)。

社長の木村哲也氏は、自前のIoTシステムによって自社工場(自動車部品)の生産性を劇的に引き上げただけでなく、新会社「i Smart Technologies」を通じてノウハウの外販にも着手。2018年にはIoT施策に関する著書「Small Facetory 4.0」も出版しました。

こうした新しい技術を導入する際は、従来の業務に慣れた社員による抵抗に合う可能性もある中で、旭鉄工はどのように取り組んでいるのか?

木村氏が「新価値創造展2019」(11月29日)で語った内容を書き起こしでお伝えします。

 

前回の記事

 

他社がやっていないから意味がある

私は経営とは他社と差別化することだと考えています。何か新しいことをやりましょうという時に、「他の会社もやっているか?」を気にされるケースがとても多いですが、他の会社がやっていないからこそ意味がある。いつもそう思って色々と実験をしています。

たとえばAmazonのAIスピーカー「Alexa」。これを製造現場で使ったら面白いと思いました。同時にこれでテレビ出演などにつながれば宣伝にもなるのではないかと思ったわけです。

そうした狙いでやったところ、NHKに取り上げてもらうことができました。また我々が撮影した動画をAWSに渡したところ、Amazonが彼らのイベントで流してくれています。

 

 

(旭鉄工によるAlexa活用動画を見せながら)これは旭鉄工の西尾工場の鍛造工程の映像です。鍛造というのは鉄の棒を10-20cmくらいに切って1200度で熱して型でたたいて変形させるという作業です。

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たまに機械が壊れるのですが、今までは自分のスマホを出して「課長ちょっと修理を手伝ってください」などと頼んでいました。今はアマゾンの「Dashボタン」を押すと保全の人のApple WatchにSlackで通知される仕組みになっています。

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また我々(i Smart Technologies)のサービスは、スマホやタブレットで操作する場合が多いのですが、今の動画では手袋をしていますね。そうすると手袋を脱いでスマホを取って電話するというムダな作業が発生してしまいます。今ではAlexaに対して音声で「停止に変更」と指示を出すことができます。

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そうすると会社にあるアンドン(生産状態報告システム)が停止に切り替わるのです。

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あと我々は設備の稼働データをクラウド上に持っているので、それを音声で引っ張り出すこともできます。「鍛造工場の調子はどう?」とAlexaに聞くと、「鍛造工場の調子はこうです」という返事が返ってきます。

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たとえば「調子が良いです」といった返事がAlexaから返ってきた際に、「よく頑張ったね」と返すと、担当者のスマホにslack経由でそのメッセージが送信されたりします。

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「自分もやってみよう」と社員が動く雰囲気づくり

「面白いからやる」という基準は他にもあります。みなさんボルダリングをご存じだと思いますが、氷壁を道具で登るアイスクライミングという競技があります。そのワールドカップ選手のための道具を作ったこともあります。

 

取り組みはまだあります。ゼノマさんという会社の社長が友達なのですが、何をやっている会社かというと、着用した人の動きを可視化してくれる「スマートアパレル」を作っています。

下半身のスーツだけで100万円くらいするのですが、面白そうなので買いました。でも目的があったわけではなく、買ってから何をしようか考えました。そこでオフィスにあるフラフープを使ってデータを取ってみようとなった。全然回せない人から、すごくうまい人まで。ちなみに私もやりました。

(フラフープの動画を見せながら)左側の彼は全然回せないのですが、この後データを見ながら、「ここの動きがこう悪いね」という感じで改善したら4日でとてもうまくなりました。

さっきのアイスクライミングはうちのCTOがやりたいと言ってきたのでやることにしましたし、ゼノマさんのスーツも私が面白そうだと思ったから買ってみました。

この「面白いからやる」というのがすごく大事だと思います。アイスクライミングのほうはNHKやアエラで取り上げてもらったので、元は取れたのではないでしょうか。

こういうのを見ると、従業員も「じゃー自分もやってみようか」となります。そこを狙ってやっているので、これでいくら儲かるなど計算してやっているわけではありません。従業員がモチベーション高くやってくれたら、そのうち何かに使えるかなという考えです。

3本目に続く

 

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