近年、エネルギーコストの高騰を受け、病院・介護施設の電気代削減が喫緊の課題となっています。電気代を抑えることは企業の収益改善にも大きく貢献します。
病院・介護施設の電気代削減で、企業利益の向上を実現するためにはどのような考え方が必要なのでしょうか。この記事では、今すぐ取り組みを始めるための参考情報をご紹介します。
病院・介護施設と電気代についての基礎知識
本章では、病院・介護施設の電気代に関する基礎知識と一般的な現状について解説します。電気代の内訳を知ることで、より具体的な節電対策へとつなげられます。
病院・介護施設の電気使用量の平均的な内訳
病院・介護施設の電気利用状況は、季節によっても変わります。経済産業省エネルギー庁が公表している「夏季の省エネ節電メニュー」によると、医療機関(夏季の点灯帯)の消費電力のうち、空調が34.7%、照明が32.6%で約7割を占めていました。
また、同省同庁が公表している「冬季の省エネ・節電メニュー」によると、医療機関(冬季の1日間)では消費電力のうち空調が34.9%、照明が32.5%となっています。そのほかでは、医療機器や複合機などが主な電気使用量の内訳として挙げられます。
参考:経済産業省|事業者向け省エネ関連情報
病院・介護施設の電気代削減の必要性
電気代の削減は、企業利益の向上にも大きな影響を与えます。本章では、病院・介護施設の電気代削減の必要性について、その理由を更に詳しく説明します。
電気代の高騰
近年、記録的な円安と燃料価格の高騰により、電気料金は著しい上昇を見せています。病院・介護施設ビルにおける電気代は、膨大なものとなり、企業経営に深刻な影響を与えています。電気代削減は、単なるコスト削減ではなく、企業の存続に関わる重要課題といえるでしょう。
一部の病院・介護施設では24時間にわたって空調や照明、医療機器を稼働させておく必要があるため、高い稼働率を保ちながら電気代を抑える工夫も求められます。
2023年6月から大手電力10社のうち7社は、国から認可を受けて「規制料金」を値上げしています。審査によって最終的な値上げ幅は、当初よりも抑えられましたが、平均23.22%~平均39.70%の値上げとなっています。
関連記事:法人の電気料金の値上げ・高騰を徹底解説。電力会社の適切な比較、見直し方法は?
病院・介護施設の電気代を削減する方法
ここまで病院・介護施設電気代削減に関しての基本的な知識と、その重要性について見てきました。
病院・介護施設には、患者さんのために24時間稼働させる必要のある設備や機器が多く導入されています。そのため、医療機器などの電気代削減には限界があります。また、大型の病院・介護施設ではいつ起きるかわからない災害に備えているケースもあります。災害時に限られた電源で施設を維持するためにも、日頃の省エネへの取り組みが重要です。
しかし、「具体的な対策方法がわからない」「実際にどこから手を付ければ効果的なのか」といった疑問を持つ場合も多いのではないでしょうか。そこで、ここからは病院・介護施設の電気代を今すぐ削減できる、実践に向けた具体的な取り組み方法について解説していきます。
病院・介護施設の照明機器で電気代節約
照明機器は、空調機器に次いで電力消費量の大きな割合を占めています。使い方を見直すことで、電気代削減に大きく貢献します。照明機器の主な節電方法には、以下の8つが挙げられます。
- こまめに消灯する
節電の基本中の基本ですが、意識的に取り組まないと日々の業務のなかで忘れやすくなります。医療従事者や患者さんの行動範囲を考慮しつつ、使用していない部屋などは必ず消灯する習慣づけを行いましょう。 - LED照明に交換する
LED照明は、従来の蛍光灯や白熱灯に比べて消費電力が約58~84%削減でき、寿命は約40倍長持ちする点が特長です。初期費用は高くなりますが、交換の手間を軽減しながらランニングコストの大幅な削減が期待できます。 - 照度を調整する
照度が明るすぎると、無駄な電力消費となります。照度調整が可能な機器であれば、必要十分な明るさに調整することで、節電可能です。特に外来部門では、患者さんが来院する時間帯以外は照度を抑えておくのがおすすめです。 - 人感センサーやタイマーを活用する
人感センサーやタイマーを活用すれば、人がいない場所や時間帯の照明を自動的に消灯可能です。人の出入りが多い場所や廊下などに設置することで節電効果を得られます。 - 間接照明を活用する
間接照明は、天井や壁に光を反射させて照らす照明です。直接照明に比べて、必要な照度を確保できると同時に、省エネ効果も期待できます。加えて、リラックス効果も期待できるため、ロビーや休憩室、リラクゼーションスペースに向いています。 - 自然光を活用する
ブラインドやカーテンを調整し、自然光を活用することで、照明機器の使用時間を減らせる場合もあります。業務に支障がないかを確認しながら、照明の利用を抑制しましょう。 - 省エネ性能の高い照明器具を選ぶ
新たに照明器具を選ぶ際には、省エネ性能の高いものを選ぶようにしましょう。省エネ性能は、照明器具のラベルに記載されています。 - 定期的な清掃を行う
照明器具が汚れていると光の反射効率が低下し、同じ電源でも暗く感じます。定期的な清掃で、節電効果を向上させましょう。
病院・介護施設の空調機器で電気代節約
先述したように、病院・介護施設の電気代の多くを占めるのが空調です。近年は、密閉性の高さや安全性の配慮から通年窓を開けずに空調を使っている病院・介護施設も少なくありません。空調の節電は、電気代の削減に大きな効果が期待できます。空調機器の主な節電方法は、以下の7つです。
- 設定温度を見直す
空調機器の消費電力は、設定温度と外気温の差が大きくなるほど増加します。夏は28度、冬は20度を目安に設定し、こまめな調整を行うことで無駄な電力消費の抑制につなげることができるでしょう。例えば、リモコンのロック機能を使って、設定温度の管理を徹底することも有効策のひとつです。 - サーキュレーターを活用する
サーキュレーターを活用すれば、室内の空気を循環させることができるため、冷暖房の効果を高められます。空気の動きにより1カ所に温かい空気や冷たい空気が滞留せず、効率的な冷暖房効果が期待できるでしょう。 - フィルター掃除をこまめに行う
空調機器のフィルターが汚れると空気の流れが悪くなり、冷暖房の効率が低下します。また、フィルターの目詰まりは機器の稼働に負担をかけるため、電気を余分に消費しかねません。そのため、フィルターは2週間に1回程度掃除し、常に清潔な状態を保ちましょう。 - 日射遮断対策を行う
窓から入る日射は、室温を上昇させる大きな要因となります。夏場は、ブラインドやカーテンを活用し、日射による室温の上昇を抑制すると空調機器の負荷を軽減できます。 - 局所的な冷暖房を併用する
病院・介護施設内のすべてのエリアを均一に空調するのではなく、利用頻度や時間帯に応じて空調を制御することで、無駄な電力消費を抑えられます。 - ゾーニングによる空調制御
宿泊施設の外気処理空調機(外調機)は、ほとんどの宿泊施設で年間24時間運転しています。客室の空調エネルギー使用の大小は、外調機の運転及び温度設定が大きく影響しています。外調機の処理温度は外気の状態を考慮して設定し、必要以上に冷却加熱しないことで電気代を削減できます。 - 省エネ性能の高い空調機器への更新
古い空調機器は、新しい省エネ性能の高い空調機器に比べて、消費電力が大幅に高くなります。買い換えのタイミングを検討し、省エネ性能の高い空調機器への更新を検討しましょう。空調設備の見直しの際に、上記のゾーニングをあわせて検討するのも効果的です。また、人感センサー付きの機器を導入すれば、人員にあわせて自動的に制御できるため、電気代削減効果が高まります。
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病院・介護施設の当社提携先の新電力に切り替えできた実績(一例)
A社 電気代削減額(年間):約810万円 | B社 電気代削減額(年間):約380万円 |
切り替え前:約2,720万円
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切り替え前:約3,800万円
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切り替え後:約1,910万円
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切り替え後:約3,420万円
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注釈:建物の画像はサンプルです。
電気使用状況の「見える化」が省エネと電気代削減のカギ
エネチェンジBizでは電力使用量の年間30分値をいただき、ご要望があれば下図のように電力使用状況の簡易分析を行います。
こちらは東北地方の総合病院のデータです。年間電力使用の特徴は冬12月~2月までが極端に使用量が多く、また夜間電力使用量も多いです。当直職員や入院患者様の最適気温維持のために夜間でも暖房需要が必要となっていると推察します。
また、夏8月は開院から昼の暑い時間に向かい使用量が大きく伸び特徴的なカーブを描いています。冬、夏の需要カーブは東北地方であるがゆえの特徴がよく出ていると思います。日毎需要カーブは全国の総合病院の典型的カーブを描いています。開院時に高くなり、昼以降は徐々に下がります。使用量削減には使用電力の大きくなる古い型の空調を使用の際は空調リプレイスなどが効果的です。
また、太陽光システム導入の対費用効果の簡易試算なども同時に行えます。電力会社を見直しすることによるコスト削減はもちろん大切です。
太陽光導入に関しては、季節によって大きく電気使用の在り方が変わるので、太陽光と蓄電池併用でのご検討をお勧めします。春、秋の電力使用量が減る時期に自家消費が出来ない場合は、蓄電池なども併用し、蓄電分を夜間などで使用すると電力使用量を減らす効果も見込めます。
重要なことは自社の電力使用状況を把握し効率よく管理することで社会的貢献や持続可能なビジネスを築くことと考えます。簡易分析もお気軽にご相談ください。