近年、エネルギーコストの高騰を受け、オフィスの電気代削減が喫緊の課題となっています。電気代を抑えることは企業の収益改善にも大きく貢献します。
オフィスの電気代削減で、企業利益の向上を実現するためにはどのような考え方が必要なのでしょうか。この記事では、今すぐ取り組みを始めるための参考情報をご紹介します。
オフィスと電気代についての基礎知識
本章では、オフィスの電気代に関する基礎知識と一般的な現状について解説します。電気代の内訳を知ることで、より具体的な節電対策へとつなげられます。
オフィスの電気使用量の平均的な内訳
オフィスの電気利用状況は、季節によっても変わります。2023年6月に経済産業省エネルギー庁が公表している「夏季の省エネ節電メニュー」によると、オフィスビル(夏季の点灯帯)では消費電力のうち、空調が48.6%、照明が23.1%で7割以上を占めていました。
一方、2022年11月に同省同庁が公表している「冬季の省エネ・節電メニュー」によると、オフィスビル(冬季の1日間)では消費電力のうち空調が33.5%、照明が29.8%とやや低下しています。そのほかでは、エレベーターやOA機器などが主な電気使用量の内訳として挙げられます。
参考:経済産業省|事業者向け省エネ関連情報
オフィスの電気代削減の必要性
電気代の削減は、企業利益の向上にも大きな影響を与えます。本章では、オフィスの電気代削減の必要性について、その理由を更に詳しく説明します。
電気代の高騰
近年、記録的な円安と燃料価格の高騰により、電気料金は著しい上昇を見せています。オフィスビルにおける電気代は、膨大なものとなり、企業経営に深刻な影響を与えています。電気代削減は、単なるコスト削減ではなく、企業の存続に関わる重要課題といえるでしょう。
2023年6月から大手電力10社のうち7社は、国から認可を受けて「規制料金」を値上げしています。審査によって最終的な値上げ幅は、当初よりも抑えられましたが、平均23.22%~平均39.70%の値上げとなっています。
関連記事:法人の電気料金の値上げ・高騰を徹底解説。電力会社の適切な比較、見直し方法は?
オフィスの電気代を削減する方法
ここまでオフィス電気代削減に関しての基本的な知識と、その重要性について見てきました。しかし、「具体的な対策方法がわからない」「実際にどこから手を付ければ効果的なのか」といった疑問を持つ場合も多いのではないでしょうか。そこで、ここからはオフィスの電気代を今すぐ削減できる、実践に向けた具体的な取り組み方法について解説していきます。
オフィスの空調機器で電気代節約
先述したように、オフィスの電気代の多くを占めるのが空調です。近年は、密閉性の高さや安全性の配慮から通年窓を開けずに空調を使っているオフィスも少なくありません。空調の節電は、電気代の削減に大きな効果が期待できます。空調機器の主な節電方法は、以下の7つです。
1.設定温度を見直す
空調機器の消費電力は、設定温度と外気温の差が大きくなるほど増加します。夏は28度、冬は20度を目安に設定し、こまめな調整を行うことで無駄な電力消費の抑制につなげることができるでしょう。例えば、リモコンのロック機能を使って、設定温度の管理を徹底することも有効策のひとつです。
2.サーキュレーターを活用する
サーキュレーターを活用すれば、室内の空気を循環させることができるため、冷暖房の効果を高められます。空気の動きにより1カ所に温かい空気や冷たい空気が滞留せず、効率的な冷暖房効果が期待できるでしょう。
3.フィルター掃除をこまめに行う
空調機器のフィルターが汚れると空気の流れが悪くなり、冷暖房の効率が低下します。また、フィルターの目詰まりは機器の稼働に負担をかけるため、電気を余分に消費しかねません。そのため、フィルターは2週間に1回程度掃除し、常に清潔な状態を保ちましょう。
4.日射遮断対策を行う
窓から入る日射は、室温を上昇させる大きな要因となります。夏場は、ブラインドやカーテンを活用し、日射による室温の上昇を抑制すると空調機器の負荷を軽減できます。
5.局所的な冷暖房を併用する
各コーナーへの扇風機の設置、局所暖房の導入など全体的な空調設備と併用し、個人スペースの快適性を向上する工夫も大切です。オフィス全体を対象とする空調のみでは、暑すぎたり寒すぎたりするケースも少なくありません。局所的な冷暖房をバランスよく併用することで、オフィス全体の電気代削減が期待できる場合もあります。
6.ゾーニングによる空調制御
オフィス内のすべてのエリアを均一に空調するのではなく、利用頻度や時間帯に応じて空調を制御することで、無駄な電力消費を抑えられます。
7.省エネ性能の高い空調機器への更新
古い空調機器は、新しい省エネ性能の高い空調機器に比べて、消費電力が大幅に高くなります。買い換えのタイミングを検討し、省エネ性能の高い空調機器への更新を検討しましょう。空調設備の見直しの際に、上記のゾーニングをあわせて検討するのも効果的です。また、人感センサー付きの機器を導入すれば、オフィス人員にあわせて自動的に制御できるため、電気代削減効果が高まります。
オフィスの照明機器で電気代節約
照明機器は、空調機器に次いで電力消費量の大きな割合を占めています。使い方を見直すことで、電気代削減に大きく貢献します。照明機器の主な節電方法には、以下の8つが挙げられます。
1.こまめに消灯する
節電の基本中の基本ですが、意識的に取り組まないと日々の業務のなかで忘れやすくなります。使っていない照明を消灯することを常に心がけ、休憩時間や退勤後などは、必ず消灯する習慣づけを行いましょう。
2.LED照明に交換する
LED照明は、従来の蛍光灯や白熱灯に比べて消費電力が約58~84%削減でき、寿命は約40倍長持ちする点が特長です。初期費用は高くなりますが、交換の手間を軽減しながらランニングコストの大幅な削減が期待できます。
3.照度を調整する
照度が明るすぎると、無駄な電力消費となります。照度調整が可能な機器であれば、必要十分な明るさに調整することで、節電可能です。目の健康にとっても、照度は大切になるため、明るすぎず、その場所にあわせた照度を選びましょう。
4.人感センサーやタイマーを活用する
人感センサーやタイマーを活用すれば、人がいない場所や時間帯の照明を自動的に消灯可能です。人の出入りが多い場所や、定時に退出する部屋などに設置することで節電効果を得られます。
5.間接照明を活用する
間接照明は、天井や壁に光を反射させて照らす照明です。直接照明に比べて、必要な照度を確保できると同時に、省エネ効果も期待できます。加えて、リラックス効果も期待できるため、休憩室やリラクゼーションスペースに向いています。
6.自然光を活用する
ブラインドやカーテンを調整し、自然光を活用することで、照明機器の使用時間を減らせる場合もあります。業務に支障がないかを確認しながら、照明の利用を抑制しましょう。
7.省エネ性能の高い照明器具を選ぶ
新たに照明器具を選ぶ際には、省エネ性能の高いものを選ぶようにしましょう。省エネ性能は、照明器具のラベルに記載されています。
8.定期的な清掃を行う
照明器具が汚れていると光の反射効率が低下し、同じ電源でも暗く感じます。定期的な清掃で、節電効果を向上させましょう。
オフィスのOA機器で電気代節約
オフィスにおけるOA機器には、パソコンやプリンター、複合機、サーバーなどのさまざまな機器が含まれ、電力消費量の大きな割合を占めています。OA機器は、起動を早くするために待機状態で消費する電力が発生します。待機電力は、思った以上に大きな電力量となることもあり、電気代を圧迫する要因となりかねません。OA機器の主な節電方法は、以下の4つです。
1.待機電力をオフにする
OA機器を使用していないときは、必ず電源オフにするか、待機電力カット機能をオンにするようにしましょう。特に、夜間や休日は必ず待機電力がかからないよう徹底します。
2.省エネモードを活用する
多くのOA機器には、省エネモードが搭載されています。省エネモードとは、使用していない機能の電力を抑制し、消費電力を抑えるモードです。省エネモードが搭載されている機器かを確認し、適切に活用しましょう。
3.不要な機器は電源オフにする
使用していないOA機器は、コンセントから抜いて電源オフにしておきます。電源プラグをコンセントに挿したままの状態でも待機電力は発生します。コンセントから外す際には、業務に支障がないかを確認することが大切です。
4.最新の省エネ機器に買い換える
古いOA機器は、省エネ性能の高い新しい機器に比べて、消費電力が大幅に高くなります。買い換えのタイミングを検討し、省エネ性能の高いOA機器への更新を検討しましょう。
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切り替え前:約1億2,103万円
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切り替え後:約1億13万円
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注釈:建物の画像はサンプルです。
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