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都内の中小事業所が活用すべき省エネ支援、「地球温暖化対策報告書制度」とは?

省エネ法の対象になるような大規模事業所と比べると、中小規模の事業所による省エネはまだ改善の余地が大きい状態が続いている。

国や自治体による規制の直接的な対象から外れていることや、対応リソースの不足などが主な理由として考えられる。

そうした中で東京都は、中小規模事業者による省エネ活動の把握・支援を目的とした「地球温暖化対策報告書制度」を2009年から実施している。

一定規模の中小規模事業所を所有または使用している事業者に対して、自社のエネルギー消費量や省エネ対策などの報告を義務づけるものだ。

ただ同制度の報告が義務にならない事業者でも、希望すれば自主的に提出することが可能だ。そうした任意提出事業者の数は、義務提出事業者の約6倍に上る。

なぜ義務対象外の事業者でも自主的に報告書を提出しようとするのか?

それは報告書を提出することで、自社の省エネのPDCAがまわりやすくなるよう同制度が設計されているからだ。

ホームページ上にある作成支援ツールを通じて、自社の電気・ガス関連の数値を入力するだけで原油換算・CO2換算が自動で行われる。簡単な作業で自社のエネルギー使用状況を管理できるのだ。

また報告書を提出すると、他の提出事業者によるデータや分析結果、実施施策との比較が容易になる。

つまり同制度は、現状把握や他社を参考にした改善策の検討を含むPDCAをまわす上での補助輪として機能するのだ。

この記事ではそんな「地球温暖化対策報告書制度」について解説する。

「地球温暖化対策報告書制度」とは?

報告書の提出が義務付けられる事業者だが、詳細な条件は次のようになる。

  • 都内にある中小規模事業所のうち、前年度の原油換算エネルギー使用量が30kL以上1,500kL未満のものをすべて合計すると3,000kL以上になる事業者

 

つまり省エネ法の対象から外れる小規模な施設を念頭に置いた制度だ。

同制度を運用する東京都地球温暖化防止活動推進センター(クール・ネット東京)によると、原油換算エネルギー使用量が1,500kL未満の中小事業所は都内において約66万箇所に上る。

これは都内の業務・産業部門のCO2排出量の約6割、都内全体の約3割を占める規模になる。

こうした全体に占める割合は大きいものの、省エネやCO2削減の規制対象からは外れやすい中小規模事業者による取り組みを促進するのが同制度の意図だ。

それでは報告書を提出する側の事業者にはどのようなメリットがあるのだろうか?ここからは、それぞれのメリットについて一つずつ見てみよう。

他社の取り組み状況が分かる

クール・ネット東京は、報告書によって集まった数値を集計・分析した結果を提出事業者に対してフィードバックしている。

エネルギー消費原単位の推移や年度ごとの削減率、CO2排出量といった数値が事業所の用途(業種)区分ごとに詳細にまとめられた内容だ。

さらに温暖化対策の実施内容といった情報も記載されているため、自社の改善策を検討することにも役立つ。

たとえばコンビニによる採用率が高い対策メニューの上位5つが記載された以下の集計グラフをみると、「空室・在室時のこまめな消灯」はすでにほぼすべての事業所で実施されていることが分かる。

コンビニ業種による主な省エネ対策の採用率(出典:東京都環境局による資料を加工して作成)

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業種ごとに集計・分析することで、事業者自身が同業種の他の事業者と比較することができ、立ち位置を客観的に把握することができるのだ。

「データのフィードバックは、PDCAサイクルのCheckに相当します。事業者が自身の立ち位置をより明確化し、省エネに取り組んでいただくことを目的にしています」とクール・ネット東京の担当者は話す。

 

フィードバックされる集計結果の一例(出典:東京都環境局による資料を加工して作成)

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このように、同業他社の取り組みやエネルギーの使用状況を知ることで、自社の省エネ状況を客観視し、新たな対策を検討することも可能になるだろう。

 

省エネ支援を受けられる

「地球温暖化対策報告書制度」に沿って報告書を提出した事業者は、様々な支援策を受けられるメリットもある。「中小企業者向け省エネ促進税制」がその一例だ。

同税制では、東京都環境局が指定する空調・照明・小型ボイラー・再生可能エネルギー設備を事業者が取得した場合、設備の取得額(上限2,000万円)の2分の1が事業税から減免される。

申請対象期間などは随時サイトで確認したい。

 

PRツールとして使える

また、報告書を提出した事業所は、都の準備するアピールツールを使用し、温暖化対策への取り組みをPRできる。

・PRシート

省エネルギー対策の取組を表示する「PRシート」を事業所に掲示することで、温暖化対策の取組状況を社員や来客者に対してPRできる。

 

・カーボンレポート

「カーボンレポート」とはテナントビルの省エネ性能を示すツールのこと。これは先に挙げた「低炭素ベンチマーク」をもとにしたツールだ。ビルオーナーが「カーボンレポート」で省エネレベルを「見える化」することで、テナントビルの環境性能をアピールし賃料の向上も期待できる。

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どんな企業が活用しているのか?

冒頭で紹介したように、「地球温暖化対策報告書制度」で報告書を提出する事業者には大きく二種類ある。報告書の提出が義務づけられる「義務提出事業者」と、報告書の提出が任意の「任意提出事業者」だ。

直近の報告書の提出実績は、義務提出事業者が約300件(事業所数は約23,000件)、任意提出事業者が約2,000件(同約12,000件)となっている。

特に件数が多い業種は、コンビニや生鮮食品などの物販店、食堂・レストラン、居酒屋等の飲食店、オフィス、学校・教育施設など。他にもスーパー・百貨店、ドラッグストアといった小売業などが代表的な業種としてある。

 

さらに無料の「省エネルギー診断」も

また「地球温暖化対策報告書制度」とは別に、クール・ネット東京では、都内の中小規模事業所に対して無料の「省エネルギー診断」を2008年から実施している。

この診断では省エネのプロが照明や空調、換気といった設備をチェック。報告書にまとめ、事業所にあわせた改善策を提案してくれる。

そのため「エネルギーの無駄を探したい」「LED照明器具への更新を検討したい」と考えている事業所のニーズに合致するだろう。診断時間も60~90分程度と短時間だ。

また公益財団法人東京都中小企業振興公社が実施する「LED照明等節電促進助成金」のように、省エネ診断の受診を条件とする補助金もある。

受診事業者に向けて行なったアンケートでは、診断を受けて「効果を実感した」と答えた事業者は80%にものぼる。受診者による削減率は、電気使用量で平均16.1%、ガス使用量で平均25.1%、水道使用量で平均16%削減に上るという。

受診結果をもとにした省エネ事例として、特に著名な例が株式会社ミヨシだ。

同社は改善提案を受け「照明器具の間引き、LED化」や「エネルギー使用量のグラフ化」などを実施。年間の電気代を約141万円削減、電力使用量の削減率は約33.7%に達した。

こうした成果が評価され、2019年度省エネ大賞「中小企業庁長官賞」を受賞している。

他にも、改善提案を受け入れ、成果を上げている事業所は少なくない。

過去に省エネ診断における提案項目を全て実施した事業所が、CO2排出量と光熱水費を30%以上削減できた事例もあるという。

その他のコスト削減効果例はクール・ネット東京のホームページで閲覧可能できる。

都内の事業者は、こうした支援制度をうまく活用して、自社の省エネに生かしたいところだ。

 

補助金一覧シートのご案内

全国の各自治体によるエネルギー系補助金(令和2年度)の一覧シートをダウンロードいただけます。

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