※編集部注:【2024年10月23日更新】
電力の使用規模が小さめの施設(契約電力50kw未満)を対象にした、主開閉器の容量により契約容量・契約電力を決定するのが、主開閉器契約です。主開閉器契約では実際に使用している電流量から契約容量を決定できるため、無駄な電気料金を支払うことがないというメリットがあります。
「主開閉器契約」以外の契約方法としては、「負荷設備契約」「実量契約」があげられます。どの契約が電気代削減につながりやすいかは、施設の電力使用実態によるため、適切な検討が必要です。本記事では、自社に適した契約形態を判断できるよう、主開閉器契約の概要やメリット、負荷設備契約や実量契約との違いなどについて解説します。記事を読むことで主開閉器契約への理解が深まり、電気代削減のヒントを掴めるはずです。
低圧電力で電気の供給を受ける需要家の契約容量や契約電力は、設置する主開閉器(メインブレーカー)の容量、または使用する電気機器の容量にもとづいて算定されます。主開閉器契約とは、主開閉器の容量により契約容量・契約電力を決定する契約です。
主開閉器契約の契約容量は、メインブレーカーの容量によって決まる、とはどういう意味でしょうか?ブレーカーの容量については、誰でも身近な経験があるはずです。複数の電気機器を同時に稼働させたときに、ブレーカーが落ちて電気が止まってしまった経験をお持ちの方も多いでしょう。これは、あらかじめ設定されたブレーカー容量を超える電流値が流れた際、設備への負荷を減らすためにブレーカーが電流を遮断するからです。このブレーカー容量の大小によって契約容量が決まるのが、主開閉器契約です。
では、具体的な計算方法を見てみましょう。仮にブレーカー容量、つまり主開閉器に電気が流れる量(定格電流)を30アンペアとします。この場合、契約容量の計算式は以下のようになります。
つまり定格電流を30アンペアとすると、契約容量は6kVAになる計算です。また同じ前提から契約電力を計算する場合は、以下のように約10kWとなります。
主開閉器(メインブレーカー)とは、需要家が幹線に設置する配線用遮断器などで使用可能な最大電流を明確に判定できる装置で、契約負荷設備を一括して遮断できるもののことです。
主開閉器契約では、電力使用規模が小さめの施設(契約電力50kW未満)を対象としています。なかでも多くの負荷設備を同時に使うことが少なく、小容量の主開閉器を設置しているお客様に適しています。
主開閉器契約と負荷設備契約の違いは、低圧電力における契約電力の決め方の違いと言えます。
主開閉器契約の契約容量がブレーカー容量によって決まる一方で、負荷設備契約の契約容量は設備容量の合計で決まります。つまり生産設備や空調、冷凍庫・冷蔵庫といった電気機器の容量を足し合わせた数値を基に、契約容量が計算されるのです。
どちらがより電気代削減につながりやすい契約なのかは、電力の使用実態によって異なります。ただいずれにしても、契約で定められた容量を無駄なく有効に使えているかが重要です。
主開閉器契約はあらかじめ契約容量・契約電力を決定した上で契約をします。
一方、実量契約(実量制)は、前の1年間でもっとも多くの電力を使った30分間を基準にして、電力会社側で契約電力が設定されます。電力の最大使用量が契約電力に大きく影響するため、電気代削減にあたってとても重要な要素となります。
主開閉器契約と実量契約においても、どちらがより電気代削減につながりやすい契約なのかは利用状況によって異なります。
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例えば負荷設備契約であれば、契約容量の上限は設備容量の合計で決まります。つまり各設備が常にフル稼働に近いような状態であれば、定められた契約容量の中で無駄なく電気を使えていることになります。
反対に負荷設備契約であるにもかかわらず、稼働していない機器がある時間帯が多い施設では、契約した設備容量を有効に使いきれていないのです。そうした施設であれば、主開閉器契約に切り替えることで電気代削減につながる可能性が出てくるでしょう。
主開閉器契約の契約容量はブレーカー容量で決まります。そのため設備の電力使用状況に適したブレーカー容量に設定することで、無駄な支払いをより削れるからです。ただしブレーカー容量を小さくしすぎると、ブレーカーが落ちて設備の稼働に支障をきたす可能性が高くなってしまいます。専門家による現地調査も踏まえ、無理のない電気代削減につながるブレーカー容量を算定することが重要です。
主開閉器契約へ切り替える企業の中には、電子ブレーカーの導入を同時に進めているケースも少なくないでしょう。電子ブレーカーとは、電気代に占める基本料金の削減を目的とする省コスト機器です。活用するには主開閉器契約を結んでいることが条件の一つになります。負荷設備契約では電子ブレーカーを使えません。
電子ブレーカーは、必要最低限のブレーカー容量を実現することで基本料金削減につなげます。そのため、そもそもブレーカー容量によって電気代が決まる契約形態である必要があります。また、低圧の契約区分である電灯契約と動力契約のうち、動力契約である必要もあります。
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