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高圧電力の一括受電とは? メリットとデメリットを解説

作成者: エネチェンジBiz編集部|2021/06/21 12:26:54

 

マンションの各戸が個別に電力会社と契約するのではなく、マンション全体として単一の電力契約を結ぶ取り組みが一括受電です。

各戸ごとに低圧契約を結ぶよりも、マンション全体として高圧契約を結ぶことで、電気代の単価を下げてより安い電力を調達できます。

一括受電の際は、マンションの管理組合、もしくは一括受電事業者が需要家として電力会社と契約を結ぶことになります。

 

一括受電によって電気代を削減できるメリットがある一方で、各戸ごとの契約や解約はできなくなるなどのデメリットもあります。 

本記事では、一括受電の概要とメリット・デメリット、導入する際の注意点について解説します。

 

一括受電の概要

マンションの電気代削減手段として活用されるのが、一括受電です。2005年から始まった高圧電力(50kW〜500kW)の自由化が、一括受電切り替えのきっかけでした。

共同住宅などに対して、電力を一括供給したいという新電力の要望を受け、以下を条件として一括受電が認められてきました。

  • 高圧受電設備を設置すること
  • 全戸の同意を得ること

 

資源エネルギー庁によると、一括供給を受けているマンションの数は、2018年12月の時点で約6,700棟です。供給戸数は約65万戸ほどだといいます。

一括受電の実態(出典:資源エネルギー庁の資料より)

一括受電を実施する際は、上記のように高圧受電設備の設置や保安管理が必要です。また、各戸の電力使用量の検針や電気代の請求、緊急時の対応などを、電力会社の代わりにマンション側が担う必要があります。

電気の専門ではない管理組合にとっては、ハードルが高い業務内容といえるでしょう。しかし中央電力やNTTファシリティーズなどの一括受電サービスを利用する場合は、管理組合の代わりに事業者がこうした作業をまとめて実施してくれます。

また新たに設置する設備は、一括受電事業者が所有することになるため、マンション側は初期費用なしで一括受電を始めることができます。

 

一括受電のメリット、各戸と共用部で電気代削減

一括受電では、マンション全体として小売電気事業者と単一の高圧契約を結びます。さらにマンション側の変電設備によって低圧電力に変換し、各戸に電力を供給します。

低圧電力よりも高圧電力のほうが電気代の単価が低いため、より安い価格で電力を調達できるようになるという仕組みです。

電気代の削減率はマンションによってさまざまで、さらに共用部と専有部(各戸)でも異なります。資源エネルギー庁が複数の一括受電事業者にヒアリングした結果によると、共用部の割引率のほうが専有部より高い傾向にあるといいます(大手電力会社の標準料金メニュー単価との比較による)。

一括受電による割引率(出典:資源エネルギー庁の資料より)

 

一括受電のデメリット

一括受電のデメリットの一つは、契約期間の長さです。

先に紹介した東京電力エナジーパートナーによる一括受電サービス「スマートマンションサポート」の場合、契約期間は10年間になります(その後は原則2年ごとの自動更新です)。

これは一括受電に切り替える際に、変電設備や検針メーターの交換などの一括受電サービス会社が負担する設備を、減価償却する必要があるためです。

さらに年に1回ほどの頻度で実施される設備の法定点検の際に、停電が発生します。

停電時間は1〜2時間ほどと長くはありませんが、そのあいだ空調設備やエレベーター、給水設備などの電気機器が停止します。医療・介護機器のように、止めることが基本できない機器を使用している住民がいる場合は、特に注意が必要です。

 

切り替える際の注意点

マンションが一括受電に切り替える際に、クリアしなければならない条件が4つあります。

1つ目は、マンション全体の電力規模が、契約電力50kw以上の水準にあることです。高圧電力の契約を結ぶには、契約電力が50kW以上である必要があります。

2つ目は、電気の変圧器がマンションの管理組合の管轄にあることです。これについては、一般的に変圧器は管理組合管轄のため、ある程度の規模のマンションであれば問題なくクリアできるでしょう。

3つ目は、導入にあたって管理組合の承認が必要だということです。実際に一括受電に切り替える場合は、管理組合の理事会で検討し、一括受電サービス会社などから説明を受けることになります。その後、管理組合の総会にかけて、区分所有者の4分の3の承認を得なければなりません。

最後に、一番難しい条件と言えるのが、入居者全戸の同意が必要であることです。区分所有者ではなく、マンションに住んでいる入居者全戸が同意しないと切り替えることはできません。マンション内に店舗がある場合はテナントの同意も必要です。戸数が数百戸程度など、大規模なマンションになるほど「入居者全戸」の同意を得ることが難しくなり、多大な労力が必要となる可能性も出てきます。

実際に、1〜2人の反対で切り替えできなかったケースや、導入をめぐる住民同士のトラブルが裁判に発展したケースもあります。

本記事で紹介したメリットとデメリットを踏まえた上で、慎重に切り替えを検討するべきでしょう。

 

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