1. エリア別 電力料金の値上げ・値下げ動向(大手電力中心)
■ 値上げが見られるエリア・プラン
- 東京エリア(東京電力)
2025年4月より「高圧電力A」契約に対してプラン変更が行われ、「その他割引」の廃止が段階的に進められています(4月および7月)。これにより、実質的な値上げが見込まれます。一部では値下げの例も報告されていますが、全体としては単価上昇傾向です。 - 関西エリア(関西電力)
2025年4月から「高圧BS(F)」プランが廃止され、標準の「高圧BS」へ自動切替えが実施されることにより、単価が上昇します。中部エリアにおいても関西電力からの供給契約で値上げの打診が確認されています。 - 九州エリア(九州電力)
2025年4月以降、業務用プランが「業務用季時別電力A」から「業務用休日エコノミー電力A」へ変更される動きがあり、これに伴い単価が上昇しています。さらに、2026年3月にも単価変更による値上げが予定されています。 - その他(ENEOS、Looop)
ENEOS Powerでは特別割引の適用条件見直しにより値上げ傾向が見られます。また、Looopでは4月より大幅な値上げが案内されており、他電力会社との価格差が広がる可能性があります。
■ 値下げ・割引拡大の動きが見られるエリア
- 関西エリア(関西電力)
2025年6月より、大口個別割引の割引率が0.7%から1.0%に拡大される予定です。高負荷需要家にとっては実質的な電力コストの軽減につながります。 - 北陸エリア(北陸電力)
「高圧B」「高圧SH」契約を持つ法人に対して、値下げのオファーが出ているとの情報があり、柔軟な料金対応が進んでいます。 - 中国エリア(中国電力)
「高圧電力R」契約を対象に、5年契約を条件とした数%の値下げ提案が確認されています。長期契約を視野に入れた企業には選択肢となり得ます。 - 東京エリア(東京電力)
一部の契約先において、2025年4月より値下げ案内が見られています。ただしこれは限定的であり、プランごとの確認が必要です。
2. 法人需要家への影響分析
■ コスト増の圧力が強まるエリア
「東京」「関西」「九州」などを中心に、プラン変更や割引の廃止による実質的な値上げが複数報告されており、今後の電気料金の上昇が企業コストに直結する見通しです。特に中小規模の法人においては、価格転嫁が難しい局面も想定され、より厳しい対応が求められます。
■ 契約見直しによる最適化の必要性
一方で、関西・北陸・中国エリアでは割引強化や値下げ提案が見られ、条件に応じてコスト抑制が可能な状況です。現契約のまま据え置くのではなく、契約年数・需要規模・使用時間帯などを踏まえて見直しを行うことが、コスト最適化の鍵となります。
■ 推奨されるアクション
- 契約中のプランや割引条件の内容を2025年4月までに再確認すること。
- 必要に応じて、複数社からの見積取得やプラン比較を実施。
- 大口・高圧契約においては、割引率の見直し交渉や長期契約オプションの検討を推奨。
中期的には、省エネ対策や再エネ導入の選択肢も視野に入れ、電力コストの安定化と脱炭素対応を両立させる戦略構築を。
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