企業が空調の導入で活用できる補助金は、国や自治体などで数多く用意されています。補助額の上限が100万円程度の小規模な事業から、数億円に上る大規模事業までさまざまです。
また、空調と一口にいっても、補助事業によって対象設備の要件などが異なってきます。自社のニーズに適した補助事業を探し、活用したいところです。
今回はその中でも代表的な補助金・助成金事業を紹介します(補助額などの詳細情報は各事業の公募要領によって変わります)。
「大規模感染リスクを低減するための高機能換気設備等の導入支援事業」は環境省による補助金事業です。執行団体は、一般社団法人 静岡県環境資源協会(SERA)です。
大企業や中小企業、個人事業主のほか、学校法人・地方公共団体(都道府県・政令市)・組合なども対象となります。感染リスクの低減と、CO2排出量の削減支援を目的としています。
補助対象は、全熱交換型の換気設備の導入(新設・更新・追加)及び高効率な空調設備等の更新(新築建築物・スケルトン建築物等は対象外)により、対象室内の換気量を現在の換気量以上とし、導入・改修前と比べて、導入・改修後の CO2 排出量を削減できる設備と決められています。
補助対象となる設備(出典:SERAのWebサイト掲載の公募要項より)
また、対象の施設はオフィスや飲食店、小売店舗、ホテル、医療施設、学校、各種集会所など「不特定多数」が集まる施設が対象となっています。
「不特定多数」の定義は、特に明確に定められているわけではないようです。環境省によると「ある程度長期間にわたって様々な従業員や取引先、顧客などが出入りする施設」という定義のため、幅広い施設が対象になるでしょう。
補助対象となる設備(出典:SERAのWebサイト掲載の公募要項より)
補助額は、換気設備とその他設備でそれぞれ最大2,000万円ずつです。補助率は3分の2となります。たとえば経費の合計が2,400万円(換気設備1,200万円・空調等1,200万円)であれば、補助額は1,600万円といった具合です。
公募期間は以下の通りです。
東京都中小企業振興公社が都内の中小企業などを対象に、コロナ対策のための設備や消耗品の購入費を助成する「中小企業等による感染症対策助成事業」があります。
助成対象は換気機器取り付けやマスク購入費など、多岐にわたります。中でも、「備品購入、内装・設備工事コース」にあたる換気機能つきの空調については、購入費・工事費に対して最大200万円(助成率は3分の2まで)の助成があります。
感染防止対策の支援事業は、「備品購入、内装・設備工事コース」と「消耗品購入コース」の2コースで実施されています。
申請するコースによって対象となる取組、対象者、対象経費、助成限度額等に違いがありますので、希望する申請内容が申請コースと合っているか確認しましょう。
申請コースごとの概要(出典:東京都中小企業振興公社Webサイトより)
全国の都道府県でも、空調で活用できる補助金や助成金が数多く用意されています。
ここでは首都圏の自治体による空調補助金の例を紹介します。いずれの事業も令和4年度の実施が決定、もしくは予定されています。
空調などの省エネ機器や、太陽光発電システムなどの再エネ関連機器の導入費用を補助するのが「《事業所用》かつしかエコ助成金」です。区内の中小企業等が対象になります。
補助対象機器は、太陽光発電システムやLED照明機器(新規設置は対象外)、遮熱塗装等断熱改修(新築は対象外)、空調設備機器(新規設置は対象外)、蓄電池など幅広いです。空調の場合、東京都環境局が定めた「省エネ促進税制対象機器」であることが条件の一つになります。
助成額は製品によって異なりますが、空調では助成対象経費の4分の1、もしくは上限100万円となっています。
申込期間は2022年4月1日から2023年3月31日です。申込受付から交付承認まで、約2週間が目安となっています。
北区の「新エネルギー及び省エネルギー機器等導入助成」は、温室効果ガスの抑制を意図した事業です。個人や法人を対象に、省エネ機器などの導入費用を支援します。
空調のほかに、太陽光発電システムとLED照明器具・LED誘導灯器具も助成対象に含まれます。また令和4年度から区内事業所にて環境マネジメントシステム(EMS)の認証を取得している事業者に対し、助成金額が加算されるメニューが新設されました。
空調の補助額は最大100万円で、補助率は20%となっています。
「埼玉県民間事業者CO2排出削減設備導入補助金」は、埼玉県内の中小事業所を対象にした補助金です。高効率空調のほか、照明や太陽光発電、ヒートポンプ・コジェネレーション設備など、幅広い製品が補助対象に含まれています。
「脱炭素化枠」「通常枠」で条件や助成金額が異なります。下記図表をご確認ください。
申請枠ごとの概要(出典:埼玉県民間事業者CO2排出削減設備導入補助金より)
一定規模の事業所(原油換算で年間エネルギー使用量が100キロリットル以上)の場合は、補助金交付後の実績報告時までに省エネルギー診断を受診することが条件です。
また事業によって、一定のCO2削減を達成した上で、設備稼動から1年後に導入効果報告書を提出する必要があります。
省エネルギー設備や再生可能エネルギー利用設備の導入費用を補助するのが「中小規模事業者省エネルギー設備等導入支援補助」です。市内の中小規模事業者が対象となります。
自家消費型の再生可能エネルギー設備(太陽光発電設備+蓄電池設備)を導入する事業者に特例措置を設けています。省エネ設備の更新と併せて、「再生可能エネルギー設備」を導入する場合も適用されます。
太陽光発電設備は、自家消費型又は申請者自らが電力会社と電力需給契約を締結する、出力10kW以上の余剰売電を行う設備で自立運転能力があるものである必要があります。
蓄電池は、太陽光発電設備と併せて導入する場合であって、当該設備と連携していることが条件です。
通常の補助額は上限75万円(補助率は補助対象経費の3分の1以内)ですが、特別措置の補助額は上限150万円(補助率は補助対象経費の2分の1以内)です。
令和4年度分については、4月に公募情報が公開され、6月に申請の受付が開始されました。募集期間は令和4年6月6日(月曜日)~9月30日(金曜日)までです。
ただし申請するには、自社の省エネ計画などを記載した「地球温暖化対策計画書」を事前に提出する必要があります。
計画書の作成自体は自社で行う必要がありますが、相模原商工会議所の省エネアドバイザーによるサポート(無料)を受けることが可能です。
計画書の作成に向けて、現地調査の後に専門家による現状報告や改善提案を受けられます。最初の現地調査から最終提案まで、1ヵ月ほどが目安です。
市の担当者によると、省エネの専門知識がなくとも、こうしたサポート内容を基に計画書を作れる想定だといいます。
「省エネルギー設備導入促進事業補助金」は、地球温暖化対策の推進を目的とした補助金です。千葉市内の中小事業者による省エネ設備の導入を補助します。
補助対象設備には、高効率照明、高効率空調、産業ヒートポンプ、業務用給湯器、変圧器、冷凍冷蔵設備、産業用モータなどが含まれています。
いずれも補助額は最大50万円で、補助率は3分の1です。
申請受付期間(第2期)は令和4年6月13日~令和5年1月18日(土・日・祝日、年末年始除く)までです。第2期の受付は先着順となっています。ただし、同日受付で募集予算額を超えた場合は、抽選により補助対象者を決定するとのことです。
審査時は、CO2排出量削減の費用対効果の大きさなどが考慮されるといいます。
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