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太陽光自家消費の最新トレンドが分かる、PVエキスポの見所とは?

作成者: エネチェンジBiz編集部|2020/07/29 5:14:03

太陽光発電の自家消費を導入する企業がますます増えている。

自社施設の屋根に太陽光発電システムを設置し、発電された電力を自社で消費する自家消費。

発電した分だけ電力会社からの購入量を節約できるため、大幅な電気代削減を期待できるほか、CO2排出量の削減や災害時のBCP(事業継続計画)対策としても活用できる。

特に最近では大企業だけでなく、電気代削減などを目的として中小規模の企業が実施に乗り出すケースも増えているようだ。

すそ野が広がり始めた自家消費だが、比較的大きな設備投資を伴うため(PPAモデルを除く)、導入に不安を持つ企業は多そうだ。

需要家からは「関心はあるがどのように検討すべきか分からない」といった声も聞こえてくる。

適切に検討を進めるために、最低限の基礎知識やベンダー企業に関する情報は不可欠だろう。

「ネットなどで情報収集もできますが、まだ情報量に限りがあるため、ご自身が抱える疑問を全て解決するにはハードルが高いかと思います。一方で展示会であれば様々なブースを歩き回りながら、出展企業からの説明を気軽に聞くことができます。そうした情報収集のハードルの低さと効率の良さが展示会のメリットです」。

そう語るのは、展示会運営大手リードエグジビションジャパン株式会社の稲葉誠人氏。

同社が9月に大阪で開催する太陽光発電展(PV EXPO)では、自家消費システムを手がけるベンダー企業が数多く出展するほか、導入の際の検討ポイントなどを伝えるセミナーも開催される。

「これまではエネルギー業界の企業による参加が多かったですが、34年前から需要家企業の来場率が急激に増えています。自家消費の盛り上がりも一因ではないでしょうか」(稲葉氏)。

自家消費設備の設置を考えている企業にとっては、貴重な生の情報に接することができる機会になりそうだ。

太陽光発電展での展示の様子

 

 

この記事では、9月の太陽光発電展にて、検討企業が押さえるべきブースやセミナー情報を紹介する。

◆開催概要(第8回[関西]太陽光発電展

  • 会期:202099日(水)~11日(金)
  • 会場:インテックス大阪
  • 主催:リードエグジビションジャパン(株)

◆同時開催展

 

※来場には招待券が必要となります。

 

尚、同展示会は20213月に東京ビッグサイトでも開催される予定だ。

 

セミナー紹介

まずは自家消費を検討する上で、必要な知識やトレンドを押さえたい。そう考える方にお薦めなのが、自家消費の導入セミナーだ。

セミナー1:自家消費導入のポイント

中でも初日に開催される「自家消費型太陽光 導入のポイント」(PV-1)は、検討企業がまず押さえるべきセッションだと言えそうだ。講師は株式会社エネテクの野口貴司氏(関東支店 支店長)。

エネテクの野口氏

 

一口に太陽光発電システムといっても、発電した電力を電力会社に売ることで収益を得る売電型システムと、自社施設で消費する自家消費型システムとでは、求められる設計が全く異なる。

売電型システムであれば、より多くの収益を得るために発電量を最大化するためのシステム設計になる。

一方で自家消費型においては、自社で消費できる以上の量を発電してしまうと、様々な問題が生じる。

余った電力を蓄電・売電する、もしくは(認可が下りれば)送電事業者に送り返す(逆潮流)といった対策が必要になるものの、いずれも手間やコストがかかってしまうのだ。

野口氏のセッションでは、売電型と自家消費型の違いを分かりやすく紹介。事例も交えながら、自家消費の詳細を解説していく。

 

セミナー2:自家消費のメリット 

自社で発電した電力を消費することで、電気代の大幅削減を期待できる自家消費だが、もちろんメリットはそれだけではない。

再エネの活用によって、CO2排出量の削減にも寄与する。また太陽光発電で作られた電力は省エネ法や温対法でカウントされないため、自家消費した電力量がそのままエネルギー削減分となる。

さらに最近のように大規模災害が相次ぐ中では、非常用の電源として活用できる点も魅力だろう。

こうした様々なメリットを解説するのが、株式会社Looopの青木佑司氏(再エネ事業本部 自家消費事業部 営業課 主任)によるセッション「電気代削減だけじゃない!“自家消費型再エネ導入”のポイントとは?」(PV-4)だ。 

Looopの青木氏

 

 

自家消費システムの部材調達から設計・施工まで一気通貫でサービスを提供する同社。販売会社選びのポイントも含め、購買検討の際に押さえるべき情報をコンパクトに紹介する。

 

セミナー3:自家消費の導入課題と対策

自家消費システムは、業種や施設の規模を問わず実施しやすいため、すそ野が広いソリューションと言えるが、当然ながらうまく条件が合わないケースも出てくる。

屋根が狭くて設備を設置できない、施設の消費電力量が少ないため費用対効果が低い、といった場合だ。

丸紅株式会社の尾形仁氏(化学品第四部 エレクトロニクス第一課 担当課長)によるセッション「“地産地消”型太陽光発電 導入課題と対策、期待される活用について」(PV-2)は、そうした導入課題と対策についての解説だ。 

丸紅の尾形氏

 

 

自家消費では、施設が消費できる量に合わせて発電できることが理想だ。しかし消費量が発電量を下回る、施設が稼働しない休日に限って電力が余る、といった場合も出てくる。

産業用蓄電池を活用して、そうした余剰電力を蓄電することは対策の一つになる。

さらに自社施設に設備を設置するのではなく、遠隔地にある太陽光発電システムの電気を自家消費する「自己託送モデル」を採用するやり方もある。

尾形氏は、事例も踏まえながらそうした対策や今後の展望を紹介する。

 

※来場には招待券が必要となります。

ブース紹介

こうしたセミナーで必要な基礎知識を取り入れつつ、ブースを回りながら出展企業から話を聞くことで、最新かつ生の情報を仕入れられることも展示会の醍醐味だ。

ここでは出展企業の中でも、法人向けに自家消費システムの設置を手がける7社の概要を紹介する(表示は五十音順)。

 

(株)Wave Energy

Wave Energy(東京都港区)は、創業以来一貫して、配電盤の専門技術を強みとしてきた企業。自家消費システム「SOLAR ZES」をはじめ、電力会社からの買電量をゼロにする「攻めの自家消費システム」を強みとしている。太陽光発電システムの設置からO&M(オペレーション&メンテナンス)業務まで一気通貫で手掛ける。

 

(株)エクソル

エクソル(京都府京都市)は2001年の創業以来、住宅用から産業用まで太陽光発電システムの設計・建設・稼働後のメンテナンスまで一気通貫で手掛けてきた「太陽光発電の総合企業」。自家消費の経済効果を最大化させる最適容量を算出する独自メソッドなどを強みとしている。技術や実績が評価され、太陽光発電所の評価基準を定めるガイドの策定委員会(資源エネルギー庁)に参画するなどしている。

 

(株)エコスタイル

エコスタイル(大阪府大阪市)は、2009年から住宅用太陽光発電システム、2012年から産業用太陽光発電システム事業を開始している。自家消費においても、自家消費設備の設置と新電力への切り替えによって効率的な電気代削減を狙う「太陽でんきⓇ」などを提供する。自家消費で効果が出る施設の条件としては、「屋根・屋上などに合計500平方メートル以上の日照スペースがある」「高圧での契約中である」などが目安だという。

 

(株)エネテク

エネテク(愛知県小牧市)は、自家消費システムに加えて電気設備工事、省エネ、BCP提案などを手がけるエネルギー企業。太陽光発電の施工・メンテナンス実績は5000件以上に上る。自家消費システム単体だけでなく、蓄電池やLPガス発電機を組み合わせたハイブリッド発電システム「EGGS」のほか、O&Mサービス「ソラパト」を提供している。

 

(株)SAWADA

SAWADA(広島県福山市)は1971年の創業以来、広島県を中心に太陽光発電システムの販売、設計、施工、メンテナンスなどを手掛けてきた。2012年には「太陽光発電実績の100社」(グッドフェローズ主宰)にも選ばれている。今回の展示会では、自家消費システムのほか、ハイブリッド型非常用発電機も展示する。

 

(株)大辰

大辰(兵庫県尼崎市)は、2000年に創業した太陽光発電のEPC(設計・調達・建設)事業者。またソーラーシェアリングや野立て向けの架台製造も手掛ける。自社で太陽光発電所を保有しており、発電量などのデータを蓄積。こうした運用で培ったノウハウを元に、最適な太陽光発電システムを提案できるとしている。

 

(株)Looop

新電力のLooop(東京都台東区)は、自家消費事業において部材調達から設計、設置、メンテナンスなどの全プロセスを一気通貫で実施。PPA(電力販売契約)モデルによって初期費用なしで自家消費を始められる「MY自家消費セット」などを提供している。同サービスにおいて、最短5年で投資費用の回収が可能だという。

 

おわりに

「去年の展示会では、特に需要家の方のご来場が急激に増えました。工場の設備管理の方や住宅・建設関係、病院、小売・飲食など、幅広いジャンルから感度の高い方々がいらした印象です」とリードジャパンの稲葉氏は話す。

一方で出展企業に話を聞くにしても、知識が少ない状態での会話に不安を感じる担当者も少なくなさそうだ。

「需要家で自家消費に精通している方は多くありません。どの出展企業も、興味がある方はとりあえず来場していただければ丁寧に説明します、といった心持ちではないでしょうか」(稲葉氏)。

トレンドとなっている自家消費について、生の情報を仕入れる貴重な機会になりそうだ。

※来場には招待券が必要となります。

 

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