省エネのための知見やリソースに欠けがちな中小企業にとって、省エネルギーセンターによる無料省エネ診断は駆け込み寺のような存在かもしれません。
中小企業もしくは、小規模施設(年間エネルギー使用量が100~1500kl)を対象にした同サービス。2004年の開始以来、これまでに全国で1万3000件以上が診断対象になってきました。
数々の事例を手がけてきた省エネルギーセンターが、「省エネ診断・技術事例発表会」で発表した省エネ事情などをお伝えします。
省エネルギーセンターが2013~17年度に手掛けた診断件数を業種別にみると、工場系では金属製品が最も多く、次いで食料品、プラスチック製品などとなっています。
出典:「工場の省エネルギーガイドブック」(省エネルギーセンター)
一方で業務用施設の診断件数では、「介護・福祉施設」「一般事務所」「ホテル、宿泊施設等」が上位です。
出典:「ビルの省エネルギーガイドブック」(省エネルギーセンター)
またそれぞれの業種や施設での「省エネポテンシャル」も大きいようです。
「省エネポテンシャル」とは、診断先の企業のエネルギー使用量に対して、提案された省エネ量の比率のこと。この数値が大きいほど、省エネの余地も大きいことになります。
下のグラフは製造業の省エネポテンシャル(業種別)ですが、おおよそ10%前後のレンジが中心になっています。
出典:「工場の省エネルギーガイドブック」(省エネルギーセンター)
さらに業務用施設別の省エネポテンシャルです。製造業に比べ数値の水準が高く、より省エネの余地が大きいことが分かります。
出典:「ビルの省エネルギーガイドブック」(省エネルギーセンター)
省エネルギーセンターでは、診断先企業の現状を分析した上で、改善提案を提示しています。
提案内容の内訳は「運用改善」と、設備投資などが必要になる「投資改善」の2つです。提案件数のうち、運用改善が4割、投資改善が6割ほどだといいます。
下のグラフは、工場向けの提案内容を設備別にみたものです。空調やコンプレッサで運用改善の提案(赤枠)が比較的多い状態になっています。
出典:「工場の省エネルギーガイドブック」(省エネルギーセンター)より作成
一方で、照明と受変電設備では、LED機器を含めた高効率機器への更新提案が多いほか、生産設備では設備改造を伴う提案が中心になってくるといいます。
下の表は設備ごとにみた具体的な提案内容(運用・投資改善)です。
出典:プレゼン資料より作成
また業務用施設向けの提案項目(設備別)です。
工場と比べて照明設備での運用改善の項目が多いほか、デマンド管理の提案件数も多いといった特徴があります。
出典:「ビルの省エネルギーガイドブック」(省エネルギーセンター)より作成
以下の表は具体的な提案内容です。
出典:プレゼン資料より作成
省エネルギーセンターによる無料省エネ診断では、省エネの専門家を派遣して、企業へのヒアリングや現地診断を通して省エネや節電の具体策を提案していきます。
現地診断を終えると現状のエネルギー管理状況や改善に向けた省エネ提案などを含む報告書(サンプル)を提出する流れです。
さらに企業の生産活動と省エネの両立を狙い、経営者と共同での省エネ活動にまで踏み込むほか、設備単体ではなく工場全体のエネルギー系統の効率化も図るといいます。
出典:プレゼン資料より作成
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