世界的な世情不安や物価の急激な高騰など、企業を取り巻く厳しい現状のなかで、求められるのは実質的な利益拡大につながるコストの削減です。既に、独自の経費削減を進めている企業は多く見られますが、なかなか成果が得られないケースも少なくありません。
企業経営を安定させるうえでも不可欠となるのが経費削減です。無駄なコストを可能な限り減らすことで、実質的な利益拡大に貢献します。本記事では、経費削減の基本的事項を確認しながら有効性の高いアイデアや施策について解説します。
初めに、経費削減に関する一般的な目的やメリットについて解説します。
経費削減やコスト削減に取り組む目的は、組織や企業が持つさまざまな要因によって異なります。一般的な目的や意義としては、以下のようなものが挙げられます。
・利益の最大化
コスト削減は、利益を最大化する手段のひとつです。利益は、売上から経費を差し引いて考えます。経費を削減することで、同じ売上高を維持しつつ利益を増やすことが可能です。
・資金の確保
経費削減により、余剰資金の確保が可能です。資金に余裕がでれば、新規事業の展開や成長戦略の実行、緊急時の備えなどに活用できます。
・競争力の維持・強化
経費を削減した分を製品やサービスの価格に反映できれば、価格競争力を維持・向上させることができます。競合他社との差別化を図り、市場シェアの拡大や顧客の獲得を促進します。
・リスク軽減
コスト削減は、組織が経済的なリスクに対処するための手段のひとつです。財務的な余裕を確保することで、市場の変動や予期せぬ事態に対するリスクを軽減し、安定した経営を実現します。
経費削減によって得られるメリットを解説します。
・業務における生産性の向上
経費削減を通じて業務フローの見直しが必要となり、より効率的な作業への取り組みが求められます。無駄や過剰な手続きが削減できれば、従業員のタスクをスムーズになるため、生産性の向上につなげられるでしょう。また、資源や施設の最適な利用に向けた取り組みは、従業員がより一層効果的に業務を遂行するための環境を整備し、生産性を高めることに貢献します。
・企業価値の向上
コストの削減は、企業の収益性を向上させ資産の効率的な運用を促進させます。これにより、企業の収益やキャッシュフローが改善され、企業価値の向上が期待できるでしょう。更に、経費削減の成功は投資家や株主、社会に対してポジティブなメッセージを発信し、企業の信頼性と評判を高められます。
・顧客満足度の向上
経費削減を通じて、企業は製品やサービスの価格競争力を維持することが可能です。顧客に対してより競争力のある価格で製品やサービスを提供できるため、満足度の向上に貢献します。また、コスト削減によって、製品やサービスの品質向上や業務効率の向上といった効果を得ることも期待できるでしょう。
結果的に、迅速なサポート提供など、付帯的サービスへの取り組みが強化され、顧客満足度が高まります。満足度の高い顧客は、リピート購買を促進し、口コミや評判を通じて新規顧客の獲得にも貢献するため、利益拡大への好循環の実現が期待できます。
ここでは、経費削減を具体的に進めていくための考え方について解説します。
企業が経費削減を考える際、コストは以下の3種類に分けることができます。
オフィスコストとは、オフィスの賃料や家具・設備の購入・維持、清掃や保守など、オフィス環境の維持や運営に関連する費用で、オフィスの運営に必要なあらゆる費用を指します。具体的な内容は、以下のとおりです。
削減ポイントとしては、リモートワークやテレワークといった働き方の多様化にともなう大幅な見直しが挙げられます。オフィス面積の縮小や余分なデスクの撤去などにくわえ、共有オフィスやコワーキングスペースの利用も視野に、賃料や光熱費の削減が可能です。更に、不要な家具や設備の廃棄、リース契約の見直し、ペーパーレス化による消耗品費の削減などでコストの削減が可能です。
また、節電・節水意識の向上や消耗品の使い方の徹底といった、コスト削減意識の共有と従業員の意識改革も大切です。
エネルギーコストとは、オフィスで使用する電気、ガス、水道などのエネルギー資源にかかる費用「通信光熱費」を指します。オフィス全体のランニングコストのなかで大きな割合を占めるため、削減効果が大きい項目です。
また、オフィスのエネルギーコストのなかでも、もっとも高額化しやすいのが電気料金です。エネルギー効率の向上化を図り、LED照明の導入や省エネ設備の採用など、エネルギー消費を抑える取り組みを行うことで大幅なコスト削減が期待できます。
エネルギー使用量のモニタリングや節約意識の啓発を行い、消費量の把握と管理を徹底できれば無駄な消費の低減につなげられるでしょう。
オペレーションコストとは、製品やサービスの提供に関連する業務費用です。人件費や通信費、物流費、マーケティング費用などが含まれます。オペレーションコストを抑えるためには、生産プロセスや業務プロセスの改善により、各段階で発生する無駄を削減していくことが必要です。
例えば、デジタルツールやオートメーションの導入による業務の効率化が、事務にかかる人件費削減につながる場合もあります。また、サプライヤーとの交渉や契約の見直しによる外部購買の最適化は、原材料やサービスのコストを削減します。
各コストの経費削減方法には、以下のようなものがあります。
【賃料】
・オフィス面積を縮小する
・コワーキングスペースやサテライトオフィスを利用する
・オフィス移転を検討する
・フリーアドレス制を導入する
・テレワークを導入する
【設備費】
・不要な家具や設備を廃棄する
・中古家具や設備を購入する
・レンタルやリースを利用する
・共同利用できる設備を導入する
・省エネ設備を導入する
【通信費】
・通信回線を一本化する
・格安SIMを利用する
・インターネット回線を光回線に切り替える
・クラウドサービスを利用する
・電話会議システムを利用する
【設備の効率化】
・省エネ照明(LED照明など)への交換を行う
・省エネ家電・設備を導入する
・空調設備の効率的な運用を行う
・太陽光発電などの自家発電設備を導入する
【エネルギー使用量の把握・管理】
・エネルギー使用量を定期的に測定・分析し適正値を把握する
・削減目標を設定し、進捗状況を管理する
・省エネ意識啓発活動の実施
【電力会社の見直し】
・電気料金プランの見直しを行う
・複数の電力会社からの見積もりを取得し、プランを比較する
【業務プロセスの改善】
・無駄な作業の洗い出しと削減を行う
・デジタルツールやオートメーションの導入による効率化を進める
・業務フローの見直しにより業務時間の効率化を図る
・アウトソーシング導入によるコストバランスを検討する
【サプライチェーンの見直し】
・サプライヤーとの交渉により原材料・サービスのコスト削減を図る
・調達方法の見直しにより、効率化とロジスティックの最適化を図る
・在庫管理の効率化を行う
【購買プロセスの改善】
・一括購買によるコスト削減を検討する
・購買システムの導入による効率化向上
・購買データの分析により無駄な在庫と作業の軽減を図る
企業が行うべき経費削減施策は多岐にわたりますが、もっとも効果的と考えられる分野から着手することが必要です。
人件費は、企業経済の大きな部分を占めるコストです。人件費を縮小することは、企業の収益性を向上させるために重要な課題と言えます。人件費削減には、大きく分けて以下の2つの方法があります。
必要最低限の採用にとどめ、退職者補充を行わないことで人員を自然に減らす方法があります。また定年を延長すれば、新たな雇用を最低限とし、人件費の増加を抑えることが期待できるでしょう。
無駄な作業を削減し、業務効率を向上させることにより時間外労働の抑制を行います。業務を自動化できるITツールの導入や、教育・研修を通じた従業員のスキルアップにより、労働生産性を向上させます。
人件費削減の注意点としては、報酬の引き締めや人員の減少などによって従業員のモチベーションや離職率に影響を与える可能性があることです。人件費削減を行う際には、従業員への説明を十分に行うことが重要です。人件費は、削減インパクトが大きいため、まず取り組むべき施策のひとつですが、成果がでるまでタイムラグがある点を留意する必要があります。
人件費と同様に大きなインパクトがあり、人件費と比べると経費削減に取り組みやすく、効果がでやすいのが通信光熱費です。従業員などへの影響が少なく、確実な経費削減効果が得られます。通信光熱費の施策のなかでも特におすすめなのは、電力の見直しです。その理由としては、以下の2点が挙げられます。
関連記事:法人の電気料金の値上げ・高騰を徹底解説。電力会社の適切な比較、見直し方法は?
電力会社を変更しても、送電設備や供給される電気は同じであることから、電気の質は変わりません。日本全国の送電設備は、一般送配電事業者と呼ばれる会社が管理・運営しています。電力会社を変更しても、送電設備は同じなため、停電や電圧の変化などの影響はありません。
同様に、日本全国の電力系統は、電力系統運用機関と呼ばれる組織によって運用されているため、電力会社を変更しても電力の安定供給に影響はありません。更に、電気の品質は電気事業法によって、基準が定められています。電力会社を変更しても、この基準を満たす電力が供給されます。
2022年2月のロシアのウクライナ侵攻が端を発した世界的な燃料価格の高騰は落ち着きを見せたものの、2024年2月時点で今なお世情不安が続いています。為替変動の影響もあり、円が対外的な強さを取り戻せるかの見通しも懸念材料のひとつです。
これらのさまざまな背景から、電気代の高騰は今後も見込まれており、経営を守るためにも早めの対処が求められています。経費削減への大きな貢献が期待できる通信光熱費の見直しですが、検討にあたっては料金比較に手間とコストがかからない方法を選択することが大切です。
経費を削減する施策としては、省エネ設備の導入などで電気代削減という方法もあります。しかし、新しい設備の導入には、負担が発生します。電力会社の切り替えは、出費がかからず面倒な手続きや作業なしで毎月の電気代を安くできる可能性があります。
電力見直しで電気料金が変わる主な理由は、以下の4つです。
上記のように、電力会社によって提供されるプランは異なり、最適な電力会社は企業や施設によって変わります。電力会社を見直すことで、現在よりも自社にマッチした更にお得なプランを見つけられれば、長期的な経費削減効果につながります。
先の説明にあったように、電気代は値上がり傾向となっているため、電気の見直しがまだの場合は、経費削減に向けて優先的に取り組んでみましょう。
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