法人需要家向け 電力料金動向レポート(2025年9月)

まとめ

25年9月は8月に引き続き全体的に燃料価格が下落しています。9月に入り気温が落ち着き冷房需要が減少したことから、価格が下落しました。原油価格は米国経済指標の軟化による需要減速の予測と、OPECプラスによる追加増産の発表による供給増加が要因となり価格が下落しています。米国による関税引き上げ政策および、中国の不動産市場の不振による景気低迷の影響により、原油価格は引き続き下がる見通しです。

一方で、高市総裁の経済政策に対する評価から日本円は円安に進行しました。また10月に入りロシア、ウクライナが互いのエネルギー施設への大規模攻撃を開始。地政学的リスクの高まりにより燃料価格の上昇要因となっています。

9月上旬は気温が高く推移したものの、中旬以降から気温が落ち着き冷房需要の減少からJEPX価格も安価に推移した。


エリア別燃料費等調整(9月使用分)

北海道電力 高圧電力:-4.35円(前月比+0.27円) 特別高圧:-3.26円(前月比+0.08円)
東北電力 高圧電力:-11.15円(前月比+0.21円) 特別高圧:-9.85円(前月比-0.00円)
東京電力 高圧電力:-2.37円(前月比+0.05円) 特別高圧:-2.33円(前月比-1.15円)
中部電力 高圧電力:-1.94円(前月比+0.24円) 特別高圧:+0.93円(前月比+1.91円)
北陸電力 高圧電力:-8.76円(前月比+0.07円) 特別高圧:-7.61円(前月比-0.13円)
関西電力 高圧電力:-1.60円(前月比+0.02円) 特別高圧:-0.69円(前月比-0.17円)
中国電力 高圧電力:-3.11円(前月比+0.30円) 特別高圧:-2.07円(前月比+0.10円)
四国電力 高圧電力:-8.52円(前月比-0.45円) 特別高圧:-7.26円(前月比-0.13円)
九州電力 高圧電力:-1.69円(前月比-0.07円) 特別高圧:-0.67円(前月比-0.25円)

燃料価格情報

  • LNG(JKM)11.31ドル(前月比-0.31ドル)
    アジア・欧州ともに気象環境が安定していることで需要が伸びず、価格が下落傾向になっています。

  • 原油(WTI)63.27ドル(前月比-0.26ドル)
    OPECプラスの追加増産観測により価格が下落しています。米国経済指標の軟化や中国の不動産不振により景気減退から下落します。

  • 石炭 104.54ドル(前月比-7.68ドル)
    9月に入り冷房需要の減少から、スポット取引量が減少したため、価格が下落しています。


JEPX推移 9月

システム 11.62円 (前月比-0.36円)
北海道 12.14円 (前月比-1.41円)
東北 11.33円 (前月比-1.34円)
東京 12.92円 (前月比-0.29円)
中部 11.96円 (前月比-0.65円)
北陸 11.26円 (前月比-0.15円)
関西 11.26円 (前月比-0.15円)
中国 10.57円 (前月比+0.13円)
四国 9.62円 (前月比+0.92円)
九州 10.54円 (前月比+0.16円)

25年9月の電力スポット市場価格は下落した。9月上旬は厳しい暑さとなったものの、中旬以降は気温が落ち着き、冷房需要が低減したため、価格も安価に推移した。
北海道から関西エリアでは前月よりもJEPX価格は下落したものの、中国、四国、九州エリアは前月を上回った。


エリア別削減実績の傾向

エリア 平均削減率
北海道 データなし
東北 27.12%
東京 8.49%
中部 26.49%
北陸 8.55%
関西 17.62%
中国 33.03%
四国 34.96%
九州 10.41%

電力市場価格・燃料価格の下落を受けて、先物取引価格が安価に推移しており完全固定プランの競争力が強くなった。


ニュース

・柏崎原発1、2号機廃炉へ 東電、再稼働巡り検討表明
https://news.yahoo.co.jp/articles/c9923691b037cedfaa07e16e169975941a3635a5


FAQ

Q. 市場連動プランと固定プランのどちらがおすすめですか?
A. お客様のご使用状況と経営方針によって異なります。日中のご使用が多いお客様は市場連動プランの方が価格メリットが出やすいです。太陽光発電の出力が増加している日中の方が、供給量が増えることで市場価格が下落するためです。一方で、経営方針として突発的な価格の不安定を避けたい場合は上限設置プランや固定プランがおすすめです。

安 倫太郎

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