まとめ
25年6月、イスラエルがイランのエネルギー施設に攻撃を開始したことで、地政学的リスクの高まりから、LNG・原油・石炭ともに価格が急騰しました。イラン・イスラエルの停戦発表により価格が下落に転じています。
OPECの増産決定により原油価格の減少を後押ししましたが、7月に入り中東情勢の変化により価格が上昇に転じています。また、LNG・石炭価格は夏季の気温上昇による需要の増加から、価格が上昇傾向になっています。
6月は季節外れの暑さにより需要が急増しましたが、一方で電力市場価格は気温の上昇具合から鑑みると抑制された価格で推移しました。
■ エリア別燃料費等調整(6月使用分)
北海道電力 | 高圧電力:-1.96円(前月比-0.82円) | 特別高圧:-1.91円(前月比-0.80円) |
東北電力 | 高圧電力:-9.25円(前月比-0.73円) | 特別高圧:-8.96円(前月比-0.69円) |
東京電力 | 高圧電力:-0.59円(前月比-0.53円) | 特別高圧:-0.57円(前月比-0.51円) |
中部電力 | 高圧電力:-0.08円(前月比-0.73円) | 特別高圧:-0.08円(前月比-0.71円) |
北陸電力 | 高圧電力:-7.07円(前月比-0.41円) | 特別高圧:-6.93円(前月比-0.40円) |
関西電力 | 高圧電力:-1.24円(前月比-0.17円) | 特別高圧:-1.23円(前月比-0.17円) |
中国電力 | 高圧電力:-0.77円(前月比-0.73円) | 特別高圧:-0.75円(前月比-0.70円) |
四国電力 | 高圧電力:-6.75円(前月比-0.41円) | 特別高圧:-6.57円(前月比-0.39円) |
九州電力 | 高圧電力:-1.24円(前月比-0.30円) | 特別高圧:-1.22円(前月比-0.30円) |
■燃料価格情報
- LNG(JKM)13.05ドル(前月比+1.22ドル)
イスラエルによるイランへの攻撃の発生で価格が上昇しています。停戦発表により価格は下落したものの、気温上昇による需要家増加のため上昇傾向になります。 - 原油(WTI)66.77ドル(前月比+6.19ドル)
米中貿易摩擦の影響、米国での原油在庫の減少、イラン・イスラエルの軍事衝突により価格が上昇しています。OPECの増産決定により価格が下落。 - 石炭 105.86ドル(前月比+6.28ドル)
日本の季節外れの暑さにより電力会社からのスポット取引が増加。また、イスラエル・イランの軍事衝突によりLNG供給逼迫懸念が発生したことも要因で価格が上昇しています。
■ JEPX推移 6月
システム | 10.87円 | (前月比+1.95円) |
北海道 | 9.37円 | (前月比+0.87円) |
東北 | 11.05円 | (前月比+1.25円) |
東京 | 12.96円 | (前月比+1.77円) |
中部 | 11.04円 | (前月比+2.55円) |
北陸 | 10.68円 | (前月比+2.82円) |
関西 | 10.68円 | (前月比+2.82円) |
中国 | 9.41円 | (前月比+1.57円) |
四国 | 9.20円 | (前月比+1.64円) |
九州 | 9.37円 | (前月比+2.03円) |
25年6月下旬から気温が著しく上昇しており、冷房需要の急激な増加により市場価格が高く推移しております。一方で、気温上昇に対して市場価格の増加幅は緩やかに推移しています。
北海道・東北が昨年より高く推移した一方で、中国・四国・九州は昨年より価格が低く推移しました。
■ エリア別削減実績の傾向
エリア | 平均削減率 |
北海道 | 36.71% |
東北 | 20.56% |
東京 | 9.68% |
中部 | 26.91% |
北陸 | 35.96% |
関西 | 12.35% |
中国 | データなし |
四国 | データなし |
九州 | 15.42%17.35% |
電力市場価格・燃料価格の下落を受けて、先物取引価格が安価に推移しており完全固定プランの競争力が強くなった。
■ ニュース
・7月電気代、全10社値下がり 都市ガス4社も、補助金で
https://news.yahoo.co.jp/articles/373c31e553bf94ff722572cbab235c13c34fd5c4
・原油価格は今後下落か、OPEC内外で進む増産の動きに供給過剰懸念も
https://news.yahoo.co.jp/articles/3d2a386378f0f6faaf7f25c04e19b5f3455568ab
■ FAQ
Q. 容量拠出金とは何でしょうか?
A. 将来にわたる日本全体の発電供給力を確保するため「容量市場」という制度ができました。4年後の供給力に対して発電事業者を対象にオークションが行われます。約定結果に対して、小売電気事業者等の「容量拠出金」を原資として電源に支払われます。
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