「この製品は、デマンドコントローラーではありません。これをお客様にお伝えするのに苦労することがあります」。
そう語るのは株式会社ユニヴァ・ジャパンの姥谷芳昭氏(代表取締役社長)。
1996年の創業以来、同社が開発・販売に注力してきた空調・冷凍機用省エネシステム「ESCO-ONE」(エスコワン)についてだ。
「一般的なデマコンは、デマンドを抑制しようとします。一方でESCO-ONEがまず削減するのは電力使用量です。電力使用量が減るため、30分ごとの平均電力使用量であるデマンドも結果的に抑制できますが、考え方や仕組みがデマコンとは全く異なります」(姥谷氏)。
デマンドコントローラーが機器を制御するタイミングは、事前に設定されたデマンドを超えそうな時。つまり1年の中でも電力使用がピークを更新し得る限られた時間だ。
「デマコンを入れたことで室内が暑くなった、快適性が損なわれたといった不満の声は多いですが、これはピークに達しそうなタイミングでいきなり空調を制御するためです」(姥谷氏)。
ESCO-ONEの仕組みは異なるという。
「ESCO-ONEは、そもそもこうした無理なデマンド制御が必要なくなるように、空調が稼働している限り室外機のコンプレッサーをこまめにコントロールし続けます。もちろん機器に負担をかけない範囲です」と姥谷氏は続ける。
ESCO-ONEは、電気式パッケージ型エアコン(ビルマル)のコンプレッサーを制御する。基本的に30分に1回(4分30秒)、空調を送風運転もしくは出力制御(冷凍機であれば霜取り運転)にすることで、電力使用量をこまめに削減するのだ。
これによって生じる室温変化は0.3〜0.9度。人が体感できる水準を下回るため、室内環境を維持できるという。
つまりコンプレッサーの稼働を少なくすることで電力使用量を削減しつつ、室内環境も担保するという適度なバランスを維持するのだ。
「今年は寒い日が続いていますが、お客様からの苦情は1件もいただいておりません」と姥谷氏は話す。
(株)ユニヴァ・ジャパンの姥谷社長
ESCO-ONEの導入施設は、ディスカウントストアや工場、ホテル、スーパー、飲食店、教育施設など。大手企業も含めて3,000件以上の実績があるという。
「ESCO-ONEのポイントは、まず電力使用量を削減する、その結果として自ずとデマンドも適切な水準にキープされる、という点です。販売を開始して以来、個々の機能改良は続けてきましたが、こうした根本的な考え方は変わっていません」(姥谷氏)。
さらに最近では企業による脱炭素の動きを受けて、CO2削減目的での引き合いも増えているという。
同社が「空調制御装置」と位置づけるESCO-ONE。空調での活用方法を中心に姥谷氏に話を聞いた。
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ESCO-ONEによる電気代削減の対象は業務用空調や冷凍機(室外機の圧縮出力が4kW以上が推奨)。当然ながら電気代に占めるこうした機器の割合が大きい施設ほど、導入効果を期待できる。
たとえば24時間365日の空調稼働が求められる病院や福祉施設、ホテルなどが一例だ。
「やはり空調によって、デマンドや電力使用量が大きく上がってしまった施設からのお問い合わせが多いです。電気代の半分近くを空調が占めるケースもあります」(姥谷氏)。
ESCO-ONEは、空調や冷凍機の稼働を一定頻度で制御することで、電力使用量を削減する。
制御する頻度は、室内環境などとのバランスを考慮して、柔軟に調整可能だ。ただ同社が推奨する頻度は、空調であれば30分に1回(4分30秒)だという(15%制御)。その場合、空調による電力使用量の15%を削減できることになる。
「ただ制御の時間と回数は任意に変更可能です。たとえば空調の制御を1年間続けたけれども、誰も室温変化に気づかなかった、今度は制御回数を30分に2回(3分ずつ)に増やしてみよう、というケースもよくあります」(姥谷氏)。
ESCO-ONEによる制御機能(出典:株式会社ユニヴァ・ジャパン資料を基にエネチェンジBiz編集)
一口に制御といっても、制御対象であるコンプレッサーの保護や室内環境とのバランスなどを考慮して、きめ細かく運用できる点が特長だ。
ESCO-ONEの特長(出典:株式会社ユニヴァ・ジャパン資料を基にエネチェンジBiz編集)
姥谷氏は電力使用量の削減事例として、大手ディスカウントショップのデータを見せてくれた。電力使用量の日別推移(2021年8月)だ。
グラフの赤色部分が、ESCO-ONEの制御によって削減できた電力使用量になる。
ESCO-ONEによる電力使用量の削減グラフ(出典:株式会社ユニヴァ・ジャパン資料を基にエネチェンジBiz編集)
赤色部分の削減率は、8月を通じて約20%に上る。1年の中で気温が高い時期だが、特に快適性について店舗から苦情がくることもなかったという。これは空調使用量と連動しながら制御率を調整できている点も大きそうだ。
たとえば8月13~16日の制御電力量(赤色)は比較的抑えられているが、同時期の外気温の推移をみるとちょうど気温が比較的低い時期だったことが分かる。つまり気温が低く空調の電力使用量が少なかったため、制御率も抑えられているのだ。
制御・電力使用量の推移(上)と気温の推移(下)(出典:株式会社ユニヴァ・ジャパン資料を基にエネチェンジBiz編集)
また前述の通り、電力使用量を削減した結果、デマンドの抑制も期待できる。
さらに空調室外機の電力使用量を制御するだけではデマンドを抑制しきれない場合、デマンドコントローラーとしてのESCO-ONE(親機)を併用する、というシステム構成も可能だ。
ESCO-ONE子機の制御対象は、あくまで個々の室外機になるため、ESCO-ONE親機が設定デマンドに応じてシステム内の機器を一括でコントロールするという仕組みだ。
ESCO-ONEの親機を含めたシステム構成(出典:株式会社ユニヴァ・ジャパン資料より)
その際に設定するデマンドの上限は、ESCO-ONE子機を設置する室外機の出力などから逆算して計算する。
「たとえば30分に1回の制御であれば、それによって自然にキープできるデマンドを設定します。強制的に落とすようなことはしないため、室内環境を損ないません」(姥谷氏)。
ESCO-ONEによるデマンド削減事例(出典:株式会社ユニヴァ・ジャパン資料を基にエネチェンジBiz編集)
こうした電力使用量の削減とデマンドの抑制によって、約3~4年で投資回収できるケースが一般的だという。
「ESCO-ONEをご検討されるお客様の中には、すでにデマンド監視装置を使われているケースが少なくありません。その際よくある課題の一つが、効果計測が十分にできていないという点です」(姥谷氏)。
そのような中で、同社がESCO-ONEの大きな特長として打ち出しているのが、データの記録・見える化機能だ。
過去540日分の電力データをESCO-ONE本体に保存した上で、室外機ごとの消費電力量や制御電力量、稼働時間などをグラフ化(30分単位)できる。ローデータをCSV出力することも可能だ。
ESCO-ONEによるグラフ化イメージ(出典:株式会社ユニヴァ・ジャパン資料より)
「ESCO-ONEによる電気代削減効果は、電力会社の請求書から判別できるケースがほとんどですが、こうした効果検証機能のニーズは非常に高いです。540日分ものデータ保存機能や機器ごとのグラフ化機能を備えた類似製品は、ほぼないのではないでしょうか」と姥谷氏は強調する。
より詳細な解析レポートが必要な場合は、同社にレポーティングを依頼することも可能だ(別途費用)。
さらに世の中の脱炭素ブームを受けて、CO2削減目的での導入も増えているようだ。
「CO2排出量を削減したいが打つ手がない、と悩まれているお客様も多いです。ESCO-ONEであれば、CO2排出量の削減とコスト削減を同時にできます。事前に年間のCO2削減量を明確に試算することも可能です」(姥谷氏)。
直近での室外機の稼働時間や出力、必要な制御率などをもとに電力の削減量(kWh)を計算。そこにCO2排出係数をかけ合わせて年間のCO2削減量をはじき出すのだ。
そもそもの電力使用量の削減率は、ESCO-ONEによる制御率(15%推奨)としてコントロールできる。そのためCO2削減量も明確に試算できる点が好評だという。
一般的に電気代削減のために機器の稼働を制御するとなると、室外機への負担を懸念する声も当然ながらある。しかしESCO-ONEの場合、各メーカーに制御可否を確認済みのため、安全性は問題ないという。
「制御の認可を各空調機メーカーから取得した室外機のみがESCO-ONEの設置対象です。さらに各メーカーが販売する専用の制御基板を使うため、保守契約にも影響しません」(姥谷氏)。
その上で一部の古い機種を除いて、幅広い空調(室外機)と冷凍機に対応しているという。
ESCO-ONEを導入するにあたって、事前に無料のシミュレーションを受けることができる。施設で使用されている室外機のメーカーや型番、圧縮出力、年間稼働時間などから削減額を試算するのだ。
「当然ですがシミュレーション結果によってはご検討を推奨しない場合もあります」(姥谷氏)。
設置工事では、ティッシュペーパーの箱ほどの大きさのESCO-ONEを各室外機に取り付けることになる。工事期間の目安は、約20台であれば3日ほどだ。
ESCO-ONEの筐体サイズは、高さ220mm×幅120mm×奥行き74mm(出典:株式会社ユニヴァ・ジャパン資料より)
工事の際に空調機を長時間止める必要はないという。「空調を止める必要があるのは、結線する時の数分のみのため、営業時間中の工事もしやすいです」(姥谷氏)。
またESCO-ONEは室外機ごとに設置するため、系統ごとでの導入が可能だ。たとえば病院であれば、電力の安定供給が特に重要な集中治療室系統では設置しないといった柔軟な組み方もできる。
「さらにまずはお試しで1系統だけ導入し、結果に応じてその他の系統にも広げていくというスモールスタートが可能です。大手企業様でもそういった進め方をご希望されるケースは多いです」と姥谷氏は話す。
ESCO-ONEの導入にあたっては、リースでの購入も可能。また中小企業であれば、経済産業省の中小企業税制における優遇対象にもなる。
ESCO-ONEは、株式会社ユニヴァ・ジャパンが開発・販売する省エネシステムです。
より詳細なご説明をご希望の方は、ユニヴァ・ジャパンまでお問い合わせください。ユニヴァ・ジャパンが製品の詳細や導入可否のご説明、削減額の無料シミュレーション(現地調査含む)を実施いたします。
ESCO-ONE紹介動画
ユニヴァ・ジャパンは、ESCO-ONEの販売にご協力いただける代理店様を募集しております(個人事業主の方も含む)。契約方法は、貴社のニーズに応じて柔軟に設定可能です。
お客様のご紹介のみ実施いただき、その後のお客様対応や機器の設置などを含む全てのフローをユニヴァ・ジャパンが実施するパターン、もしくは機器を買い取っていただいた上で全てのフローを代理店側でご対応いただくパターンなど、様々なバリエーションが可能です。
いずれの場合もユニヴァ・ジャパンが万全のバックアップを行います。加盟金は一切いただきません。
ご検討される場合は、ユニヴァ・ジャパン(energy@univajapan.com)までお問い合わせください。