「両立支援等助成金」は、家庭と職場の両立支援に取り組む事業主を助成する厚生労働省の制度。
男性の育児休業取得促進や、介護や不妊治療との両立支援など、複数のコースが用意されている。
コース名 | 概要 |
1.出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金) |
男性労働者の育児休暇取得促進などに取り組む事業主を助成 |
2.介護離職防止支援コース | 介護のための休業促進などに取り組む事業主を助成 |
3.育児休業等支援コース | 育児のための休業促進などに取り組む事業主を助成 |
4.不妊治療両立支援コース | 不妊治療で利用可能な休暇制度などの整備に取り組む事業主を助成 |
5.女性活躍加速化コース | 出産や育児などを理由とした女性の退職を避けるべく、取組目標を達成した事業主を助成 |
6.新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置による休暇取得支援コース | 妊娠中の女性労働者の健康管理措置として、新型コロナ対策を念頭に休業が必要とされた女性労働者に休暇を取得させた事業主を助成 |
またそれぞれのコースの助成額は以下となる。
1.出生時両立支援コースの助成額(出典:厚生労働省の資料より)
取組内容 | 助成額 | |
中小企業 | 中小企業以外 | |
1.1人目の育休取得 | 57万円(生産性要件を満たした場合は72万円) | 28.5万円(生産性要件を満たした場合は36万円) |
個別支援加算 | 10万円(同12万円) | 5万円(同6万円) |
2.2人目以降の育休取得 | ・5日以上取得:14.25万円(同18万円) ・14日以上取得:23.75万円(同30万円) ・1ヵ月以上取得:33.25万円(同42万円) |
・14日以上取得:14.25万円(同18万円) ・1ヵ月以上取得:23.75万円(同30万円) ・2ヵ月以上取得:33.25万円(同42万円) |
個別支援加算 | 5万円(同6万円) | 2.5万円(同3万円) |
3.育児目的休暇の導入・利用 | 28.5万円(同36万円) | 14.25万円(同18万円) |
2.介護離職防止支援コースの助成額(出典:厚生労働省の資料より)
取組内容 | 助成額 | |
1.介護休業 | 休業取得時 | 28.5万円(生産性要件を満たした場合は36万円) |
職場復帰時 | ||
2.介護両立支援制度 | 28.5万円(同36万円) | |
3.新型コロナウイルス感染症対応特例 |
・5日以上10日未満:20万円(労働者1人あたり) ・10日以上:35万円(同) |
3.育児休業等支援コースの助成額(出典:厚生労働省の資料より)
取組内容 | 助成額 | |
1.育休取得時 | 28.5万円(生産性要件を満たした場合は36万円) | |
2.職場復帰時 | 28.5万円(同36万円) | 職場支援加算19万円(同24万円) |
3.代替要員確保時(1人あたり) | 47.5万円(同60万円) | 有期労働者加算9.5万円(同12万円) |
4.職場復帰後支援 | 28.5万円(同36万円) |
A:看護休暇制度:1000円(同1200円)×時間 B:保育サービス費用:実支出額の3分の2補助 |
5.新型コロナウイルス感染症対応特例 | 1人あたり5万円(最大10人、上限50万円まで) |
4.不妊治療両立支援コースの助成額(出典:厚生労働省の資料より)
取組内容 | 助成額 |
1.環境整備、休暇の取得等 | 28.5万円(生産性要件を満たした場合は36万円) |
2.長期休暇の加算 | 1人あたり28.5万円(同36万円)(最大5人まで) |
5.女性活躍加速化コースの助成額(出典:厚生労働省の資料より)
取組内容 | 助成額 |
計画に基づいた数値目標の達成 | 47.5万円(生産性要件を満たした場合は60万円) |
6.新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置による休暇取得支援コースの助成額(出典:厚生労働省の資料より)
取組内容 | 助成額 |
対象労働者による休暇の取得 | 28.5万円(1人あたり)(最大5人まで) |
それぞれのコースの基本情報を紹介していこう。
男性労働者に育児休業などを取得させた事業主を助成するコース。育休などを「取得しやすい職場風土づくり」が求められる。
この取り組みについては、全労働者に対して周知されている全社的な施策である必要があるという。
次のような取り組みが一例として挙げられている。
取り組みは、あくまで単なる男性労働者の育児支援ではなく、育児休業を取得しやすくする施策であることが求められる。
そのため以下のような育児支援の取り組みは、対象とならない取り組みとして指摘されている。
また助成額は、冒頭の表にあるように、主に取得させる休暇日数や回数(1人目の子供での育休なのか、2人目以降なのか)などによって変わってくる。
休暇日数については、最低でも以下の日数を確保することが求められる。
いずれも子供の出生から8週間以内に開始する必要がある。
休暇中は有給・無給のいずれも可とされているが、支払の実態が就業規則などで定められた内容に即しているかなどに注意が必要だ。
たとえば就業規則では、育児休業中は無給と定められているものの、特別の事情により有給としたケースがあった場合、実態に沿って規定内容を整備し直さないと支給対象外となる恐れもある。
労働者の介護休業の取得・復帰の促進、もしくは必要な就労制度の導入・活用に取り組んだ中小企業事業主を助成するコース。
取り組みについては、策定した「介護支援プラン」に基づいて実施することが求められる。
介護支援プランとは、以下のいずれかを定めた計画を指す。
具体的には、介護休業を取得することになった労働者の業務整理や引き継ぎに関する措置などを盛り込むことになる。
介護支援プランは、原則として対象労働者の休業開始前に作成する必要があるが、介護休業期間中の作成も認められている。
また助成額については、次の3種類の要件ごとで異なる(それぞれの助成額は冒頭の表を参照)。
主な要件 | 概要 |
A:介護休業 | 介護支援プランに基づき、介護休業取得者、もしくは職場復帰した者が出た場合 |
B:介護両立支援制度 | 介護支援プランに基づき、仕事と介護との両立に資する制度利用者が出た場合 |
C:新型コロナウイルス感染症対応特例 | 家族を介護するために有給休暇(新型コロナウイルス感染症対応)の利用者が出た場合 |
労働者の育児休業の取得と職場復帰に取り組み、実際に活用する労働者が出た中小企業事業主に支給するコース。
育児休業は、連続3ヵ月以上取得させること、とされている。
「育休復帰支援プラン」と呼ばれる計画を作成し、同プランの内容に沿って取り組みを実行することが求められる。同プランでは、次の2つを定める必要がある。
助成額は、休業取得時と職場復帰時にそれぞれ28.5万円ずつ(生産性要件を満たした場合は、それぞれ36万円)。
またそれぞれの主な要件は以下のようになる。
主な要件 | 概要 |
A:育休取得時 |
・取り組みを全労働者に周知 ・対象労働者と面談。そこで働き方などに関する希望等を確認の上でプランを作成 ・連続3ヵ月以上の育児休業の取得 |
B:職場復帰時 |
・職務に関する情報や資料を育休中の労働者に提供 ・育児休業終了前に面談を実施。内容を記録 ・休業終了後、原職等に復帰させる。復帰後も6ヵ月以上継続雇用していること |
さらに次の3つの取り組みに対しても支給される(それぞれの助成額は冒頭の表を参照)。
主な要件 | 概要 |
代替要員確保時 | 育児休業取得者の代替要員を確保し、かつ育児休業取得者を原職等に復帰させた中小企業事業主に支給 |
職場復帰後支援 | 育児休業から復帰後、仕事と育児の両立が特に困難な時期にある労働者のため、制度導入などの支援に取り組み、利用者が生じた中小企業事業主に支給 |
新型コロナウイルス感染症対応特例 | 小学校等の臨時休業等により子どもの世話をする 労働者のために有給休暇・両立支援制度を整備し、有給休暇の利用者が生じた事業主に支給 |
不妊治療に取り組む労働者を対象に、休暇制度や両立支援制度を利用させた中小事業主を助成する制度。
両立支援制度は、所定外労働制限や時差出勤、短時間勤務、フレックスタイム制、テレワークなどの取り組みを指す。
実施するにあたっては、次のような取り組みが求められる。
さらに次の条件も満たした場合は、「長期休暇の加算」として1人あたり28.5万円(生産性要件を満たした場合は36万円)が支給される。
女性労働者が出産や育児などを理由に退職してしまう問題に対して、課題解決に取り組み、数値目標を達成した中小事業主を助成する制度。
女性労働者の活躍を推進するための行動計画を策定することが求められる。
行動計画には、現状の課題把握や改善に向けた取り組み内容、計画期間(2年以上5年以下)、達成目標、実施時期などを定める必要がある。
目標の種類としては、以下が挙げられている。
数値目標の達成については、次のように定められている。
妊娠中の女性労働者に対して、定められた休暇を20日以上取得させた事業主を助成する制度。新型コロナウイルスの影響を考慮した「母性健康管理措置」として、医師等によって休業が必要とされたケースに限られる。
対象期間は、2022年1月31日まで。
補助金と比べて手軽に活用しやすい点が、助成金の特長です。
基本的な条件を満たしていればほぼ支給されるほか、補助金のように厳格な審査はなく、受給後の経費報告も不要です(その分、補助金よりも支給額が限られるケースは多いです)。
しかし「助成金はもうやっている」という企業様もいらっしゃるものの、まだまだ申請漏れがあるケースが散見されます。
年間で発表される公的支援制度(助成金・補助金)の数は、約3,000種類にも上ります。
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機会損失にならないよう、助成金のご活用をぜひご検討ください。