環境に配慮した経営は社会に対するアピールになるものの、具体的かつ効果的な取り組みを見つけるのは容易ではないでしょう。それを解決する手段のひとつが、エコアクション21という認証制度です。
今回は、エコアクション21について詳しく解説していきます。
「エコアクション21」とは、どういう制度でしょう。まずはエコアクション21の概要をみていきます。
エコアクション21は環境省が策定した、日本独自の環境マネジメントシステム( EMS- Environmental Management System)です。環境省による要件適合確認を受けたエコアクション21中央事務局によって運営されています。
環境省では、中小事業者等の幅広い事業者に対して、自主的に「環境への関わりに気づき、目標を持ち、行動することができる」方法を提供する目的で、エコアクション21を策定し、その普及を進めてきました。
その沿革は、1996年に「環境活動評価プログラム」として策定されたのち、認証・登録制度に活用できるものへと新制度検討、改訂を経てきました。その後のパリ協定やSDGsの採択により、環境経営を巡る情勢が大きく変化する中、2017年4月に「エコアクション21 ガイドライン 2017年版」を公表、あわせて業種別ガイドラインの改訂も行われています。
エコアクション21は、中小事業者にも取り組みやすい環境マネジメントシステム。「経営の中に環境への取組を位置づける」ことで、より一層、認証・登録事業者と地域社会の持続可能な成長を後押ししています。
登録は以下の手順で行われます。
〇審査申込み前に最低3カ月以上、環境経営システムを運用し、その結果をまとめた「環境活動レポート」を定期的に公表する必要があります。また申し込みは、審査希望の2カ月以上前に行います。
審査申込書と環境経営レポートを、最寄りの地域事務局宛てに郵送します。
※審査申込書書式は、エコアクション21のホームページからダウンロードします。
地域事務局は、審査を担当する審査員を選任。受審事業者には、担当審査員の通知が届きます。
選任された審査員は、地域事務局および受審事業者から、審査に必要な書類を受領します。
審査員は、書類審査や現地審査など登録審査を実施します。
審査員は、審査の結果を審査結果報告書にまとめ、地域事務局に提出。
地域事務局の判定委員会は、審査員の報告に基づいて、受審事業者の認証・登録の可否を判定。その結果を中央事務局に報告します。
中央事務局は、地域事務局判定委員会の報告に基づいて、受審事業者の認証・登録の可否を判断。その結果を受審事業者に通知します(※必要に応じ、中央事務局判定委員会で審議する場合も)。
受審事業者は中央事務局と認証・登録契約を締結。登録料の納付を行います。
中央事務局から受審事業者へ、認証・登録証が送付されます。同時にロゴマークの使用が認められ、事業者の環境経営レポートがホームページで公開されます。
申し込みから登録までの流れは、以上です。審査は、審査員、地域事務局、中央事務局により、段階的に行われます。
環境への負荷を減らすことは、喫緊の課題です。化石燃料に頼らないCO2ゼロの要請が、社会はもとより取引先からも求められる時代。新しい企業価値を創るための方策が、エコアクション21といわれています。では、その特徴を紹介しましょう。
エコアクション21は、環境経営を支援し企業価値を向上させる、日本独自の環境マネジメントシステム(EMS)です。環境省によって策定され、ガイドラインが明確に定められています。一般に「PDCAサイクル」と呼ばれる、パフォーマンスを継続的に改善する手法に基づいているため、中小企業であっても、比較的簡単に環境経営に取り組むことができるのが特徴です。
しかも、必ず把握すべき環境負荷の項目として、わかりやすく二酸化炭素排出量、廃棄物排出量及び水使用量を規定しています。取り組むべき行動も二酸化炭素排出量削減(省エネルギー)、廃棄物排出量削減(リサイクル)、総排水量排出量削減(節水)など、明確に提示されています。
エコアクション21は、中小事業者が自主的・積極的な環境配慮に対する取り組みを展開できるのが特徴です。そして、その取り組み結果は、「環境経営レポート」として取りまとめて公表することが必須となっています。これは、環境経営への取り組みを後押しするだけでなく、事業者が環境への取り組み状況等を明らかにする「環境コミュニケーション」ともなります。その結果、社会へのアピールと同時に、社会からの信頼を得ることができるのです。
エコアクション21を取得することには、どんなメリットがあるのでしょう。ここでは、そのメリットのいくつかをご紹介します。
エコアクション21は、環境への取り組みを切り口として、経営力向上と組織活性化の同時達成を可能にした仕組みです。中小事業者が自主的・積極的な環境配慮に対する取り組みが展開でき、その取り組み結果を「環境経営レポート」として取りまとめ、実際の業務で生かせます。
とある建設会社では、環境負荷軽減のため、タブレット端末を駆使した仕事の効率化アイデアが若手から生まれたという例も。更に、環境経営レポート作りで得た分析・まとめる能力を生かし、競合他社との差別化を図った事業計画書を作成することができるようになり、受注もアップ。自社サービスの「量から質への転換」を図ることに成功しています。
出典:https://www.ea21.jp/files/case/kigyo10.pdf
多くの大手企業が、バリューチェーン全体の環境管理を求める時代。特に関係企業・取引先と協働して二酸化炭素排出量を削減していくことや、環境関連法規に係るコンプライアンスの徹底を求めるなどの傾向が強まっています。そのムーブメントに対し、エコアクション21は期待に応えられる仕組みです。
一例を挙げると、ある電気機器メーカーでは、「関係企業グリーン化プログラム」という制度を導入・実施。協力会社がエコアクション21を認証取得することを後押ししています。このように、協力会社や取引先企業に対しても環境経営への道を開き、バリューチェーン全体の強化を図っていくことで、市場での優位性を勝ち取る企業も現れています。
出典:https://www.ea21.jp/files/case/value01.pdf
社会的信頼を得ることで、有利な条件で融資を受けられることもあります。
エコアクション21は、第三者による認証・登録制度を有した仕組みです。認証を取得することによって、自治体からの補助や入札審査での加点を受けられる場合もあるほか、多数の金融機関が、エコアクション21に取り組む事業者への低利融資制度を設けています。
取得のためにかかる費用は、「審査費用」と「認証・登録料及び更新登録料」と案内されています。つまり審査のたびに発生する費用と、初回に発生する認証・登録料、更新時に発生する認証・登録料の3種類と考えるとよいでしょう。
審査費用はまず、審査人の1人1日あたりの費用で、50,000円+消費税。
ただし、審査は事業所の規模や業種によって必要な審査人数が違ってくるため、細かく既定されています。基本的には、従業員数(構成員数)が多いほど審査人数も多くなり、更に、サービス業などに比べ製造業や建設業などは環境負荷が比較的大きいため、1日あたりの審査人の数は大きくなります。
また、事業所に審査人が立ち入る「現地審査」の場合は、別途交通費も発生します。
認証・登録料も従業員数(構成員数)によって費用は変わります。また、エコアクション21は2年ごとの更新となるため、2年後に再度かかることになります。
例えば、従業員10人以下の場合、
認証登録料・更新料については、業種を問わず、従業員数に応じた料金設定となっています。
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