※編集部注:【2024年5月31日更新】
東京電力エナジーパートナー株式会社の高圧・特別高圧を中心とした法人向け電気料金プランについて解説。供給実績やテプコカスタマーサービス株式会社との違い、契約・解約情報、新電力への切り替えによる電気代削減効果なども紹介します。
本記事では東京電力エナジーパートナー株式会社の法人向け電気販売サービスについて、供給エリアや電源構成のほか、契約期間や支払い方法といった契約に関する情報などをご紹介します。
東京電力エナジーパートナー株式会社は、1951年に東京電力株式会社として設立されました。ホールディングカンパニー制への移行に伴い、2016年4月より東京電力株式会社が所有していた小売電気事業部門を引き継いだ電力会社です。
東京電力時代も含めれば、これまで70年以上にわたり関東地方の一般電気事業者として、一般の方向けの発電・送電・配電を担ってきました。現在では、沖縄県と離島を除く全国で、電気の小売販売を展開。さらに、関東や中部、関西など一部エリアを対象に都市ガスを販売するなど、エネルギーインフラを支える企業であり続けています。
また、東京電力エナジーパートナー株式会社は、東京電力グループの小売電気事業者であるテプコカスタマーサービス株式会社の親会社でもあります。
東京電力エナジーパートナー株式会社が東京電力エリア内で電力を供給する一方で、テプコカスタマーサービス株式会社は原則として東京電力エリア外での供給を担うという役割分担になっています。
テプコカスタマーサービス株式会社についてはこちら。
東京電力エナジーパートナー株式会社の家庭向け電気料金プランについてはこちら。
2016年の電力小売市場の全面自由化や、2017年のガス小売市場の全面自由化などによって、日本のエネルギー市場は大きな変革期を迎えています。
このような状況に対応するため、東京電力株式会社では最適な事業戦略を展開する必要があると判断し、「燃料・火力発電事業」「一般送配電事業」「小売電気事業」をそれぞれ分社化し、ホールディングカンパニー制へと移行しています。
「燃料・火力発電事業」「一般送配電事業」「小売電気事業」それぞれの役割と東京電力エナジーパートナー株式会社の特徴について解説します。
・東京電力フュエル&パワー株式会社
東京電力フュエル&パワー株式会社は、燃料・火力発電事業を担っています。2015年4月には中部電力株式会社と燃料調達事業や海外発電事業などを統合し、共同出資会社となる株式会社JERAを設立しています。
・東京電力パワーグリッド株式会社
東京電力パワーグリッド株式会社は、特に中立性の担保が重要となる一般送配電事業を取り扱う会社です。発電には、水力・火力・原子力・再生可能エネルギーなどの各発電所から、送電線・変電所・配電線などの電力設備を経由して、電気を届ける役割を担っています。
・東京電力エナジーパートナー株式会社
東京電力エナジーパートナー株式会社は、小売電気事業やガス小売事業を手掛ける企業で、2015年に設立されました。2022年度の段階では、法人向けにおいては年間約1億800万MWhもの電力販売実績を持ちます。
・東京電力リニューアブルパワー株式会社
東京電力リニューアブルパワー株式会社は、再生可能エネルギー事業を担っています。国内の水力事業を主力事業とし、長年の経験・ノウハウを基に再生可能エネルギーの主力電源化を推進しています。
東京電力エナジーパートナー株式会社の電力販売状況(2022年度)
販売電力量(単位:1,000kWh) | |
---|---|
高圧電力向け | 55,411,666 |
特別高圧電力向け | 52,595,336 |
低圧電力向け | 29,361,997 |
出典:経済産業省 資源エネルギー庁の電力調査統計をもとにエネチェンジBiz集計
東京電力エナジーパートナー株式会社では、電気利用者の選択肢を増やす観点などから複数の電気料金プランを提供しています。ここでは、法人向け電気料金プランについてご紹介します。
※家庭向け電気の切り替えをご希望の方はこちら
東京電力エナジーパートナー株式会社の供給エリアは、以下のエリアです。
なお、東京電力エリア以外の法人向け電力販売は、東京電力のグループ会社、テプコカスタマーサービス(TCS)で取り扱っています。
東京電力エナジーパートナー株式会社のCO2排出係数と電源構成は、次のとおりです。
東京電力エナジーパートナー株式会社では、2024年4月1日から、卸電力取引市場での取引等、小売供給のための電源調達状況の変化を踏まえ、標準メニューの見直しを行っています。
今回の電気料金見直しでは、燃料費等調整の算定諸元の見直しやそれに伴う電力量料金単価の見直し、託送料金変動分の電気料金への反映などがあり、高圧・特別高圧の契約者では値上げとなります。
現在の「標準メニュー」は、一部のプランを除いて2024年度以降は新規加入受付が終了となります。
2024年3月末の時点で現在の「標準メニュー」を契約している方は、現契約を継続するか、もしくは新料金プランへ切り替えるかの選択が可能です。
新たな「標準メニュー」については下記「新しい電気料金プラン」の項目で詳しくご紹介します。
参考:特別⾼圧・⾼圧の料⾦メニュー(標準メニュー)の⾒直し詳細
2024年4月1日より、新しい電気料金プランが「標準メニュー」として提供されています。
新しい電気料金プランは、「ベーシックプラン」「市場調整ゼロプラン」「市場価格連動プラン」の3つで、電力量料金に適用する調整がそれぞれで異なります。
「ベーシックプラン」には燃料費調整と市場価格調整の両方が適用、「市場調整ゼロプラン」には燃料費調整のみが適用、「市場価格連動プラン」には、市場価格調整のみが適用されます。
画像:東京電力エナジーパートナー株式会社 公式サイトをもとにエネチェンジBiz集計
参考:特別高圧・高圧のお客さま向けの新しい電気料金プランについて
燃料費調整とは、発電に必要な石炭や液化天然ガスなど燃料の価格変動を電気料金に反映させるためのものです。一方、市場価格調整とは、卸電力取引所におけるスポット市場価格変動を電気料金に反映させるためのものです。
補足:燃料費調整額について
画像:東京電力エナジーパートナー株式会社 公式サイトをもとにエネチェンジBiz作成
参考:新しい電気料金プランに適用する調整について
電源調達状況および販売電力量の動向をより適切に料金に反映するため、燃料費等調整の算定諸元の見直しが行われました。
基準市場価格の算定期間は、直近の市況等を反映するため、 2021年7月〜2022年6月の平均から、3カ月間(2023年5月〜7月)の平均へ見直しされています。
燃料費等調整の算定諸元の見直しに伴い、契約者の負担が変わらないよう電力量料金単価もあわせて見直しされています。
「見直し前の電力量料金単価に見直し前の2023年9月分の燃料費等調整単価を加えたもの」と「見直し後の電力量料金単価に見直し後の2023年9月分の燃料費等調整単価を加えたもの」が、公表時点において、同じ水準となるように見直し後の電力量料金単価が設定されています。
そのうえで燃料費等調整単価を加算し、電力量料金が計算されます。
「ベーシックプラン」は、燃料費調整および市場価格調整の両方を行う料金プランです。
契約期間は4月1日〜3月31日までの1年間です。特段の意思表示がない場合、契約期間満了後も同一条件にて継続されます。
支払方法は、口座振替、払込、クレジットカードが利用できます。
また、契約期間中に解約する場合、年度末までの残存契約期間に応じた下記の金額が期中解約金として発生します。
(契約電力×基本料金単価×力率割引 )×各年度末までの残存契約期間×10%
「市場調整ゼロプラン」は、スポット市場価格の変動による市場価格調整を行わず、燃料費調整のみを行う料金プランです。
契約期間は4月1日〜2年後の3月31日までの2年間です。
支払方法は、口座振替、払込、クレジットカードが利用できます。
また、契約期間中に解約する場合、下記の金額が期中解約金として発生します。
・契約電力が500kW未満の方
①契約期間中に解約する場合、年度末までの残存契約期間に応じた下記の金額が発生します。
(契約電力×基本料金単価×力率割引 )×各年度末までの残存契約期間×10%
②契約期間が1年以上残っている場合(12か月分)、①に加えて下記の金額が発生します。
(契約電力×基本料金単価×力率割引 )×12か月×5%
・契約電力が500kW以上の方
①契約期間中に解約する場合、年度末までの残存契約期間に応じた下記の金額が発生します。
(契約電力×基本料金単価×力率割引+最低引取電力量×電力量料金単価)×各年度末までの残存契約期間×10%
②契約期間が1年以上残っている場合(12か月分)、①に加えて下記の金額が発生します。
(契約電力×基本料金単価×力率割引 +最低引取電力量×電力量料金単価)×12か月×5%
「市場価格連動プラン」は、燃料費調整は行わず、スポット市場価格の変動に連動して市場価格調整のみを行う料金プランです。
契約期間は4月1日〜3月31日までの1年間です。特段の意思表示がない場合、契約期間満了後も同一条件にて継続されます。
支払方法は、口座振替、払込、クレジットカードが利用できます。
「高圧季節別時間帯別電力」「高圧季節別時間帯別電力A」「特別高圧季節別時間帯別電力B」は、工場において、夜間または日曜・祝日などに電気の使用が多い方向けのプランです。
「高圧電力」「高圧電力A」「特別高圧電力B」は、工場において、平日の昼間に電気の使用が多い方向けのプランです。「特別高圧季節別時間帯別電力A」「業務用季節別時間帯別電力(500kW未満)」「業務用季節別時間帯別電力(500kW以上)」は、ビルや商業施設において、夜間または日曜・祝日などに電気の使用が多い方向けのプランです。
「特別高圧電力A」「業務用電力(500kW未満)」「業務用電力(500kW以上)」は、ビルや商業施設において、平日の昼間に電気の使用が多い方向けのプランです。「アクアプレミアム」は水力100%(CO2フリー)とみなされる、環境に考慮した電力を提供するプランです。
注釈)「アクアプレミアム」は、契約電力が東京電力エナジーパートナーとの協議により決定している500kW以上の大口の契約者で、施設全体で使用する電気の10%以上または100万kWh/年以上をこのプランで使用することが利用条件となります。
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某ゴルフ場施設 |
某病院施設 |
電気代削減額(年間):約400万円 |
電気代削減額(年間):約600万円 |
切り替え前:約2,500万円 | 切り替え前:約1億5,400万円 |
切り替え後:約2,100万円 | 切り替え後:約1億4,800万円 |
注釈:建物の画像はサンプルです。